2016年09月19日

オルガンの打ち込み~

Dr. Perc. Bs. Gt. と来て、今回はなぜかオルガンです。英語で書くとOrgan。
臓器。

oragon.png

それはオラゴン。


オルガンの歴史はとても古く、紀元前に製作された「水オルガン」の記録が
残っていますが、現在は様々な種類のオルガンが存在しています。
発音機構別・時代別に大まかに…

・空気そのものを震わせる(パイプオルガン)
・振動板を空気で震わせる(足踏み式リードオルガン)
・トーンホイールを回転させてピックアップで拾う(ハモンドなど)
・真空管や電子回路による発振(ノバコードなど)

こんな感じに分けられます。88Proにはこれら代表的なオルガンの音色が
しっかり収録されており、特に電気・電子オルガンが充実しているのが良い
ですね。

オルガンは鍵盤の強弱に関係なく一定音量で鳴ります。なので、ベロシティ
一定でベタ打ちするのが一般的ですが、一部の音色はベロシティスイッチに
よって音色が変化したりするので、そういう音色はベロシティを上手く使い
演奏に変化を持たせてみましょう。

ベタ打ちにすると、音量の変化に乏しくなるのではないか?と思われるかも
知れませんが、ハモンド等のオルガンはエクスプレッションペダルが付いて
おり、全体の音量をペダルの踏み込み具合で変える事が出来るので、CC#11:
Expression で音量に変化を付けても良いです。


●グリッサンドについて
オルガンと言えばグリッサンドですね~。グリッサンドは指先を傾けたり、
小指の側面を使って鍵盤を駆け上がる奏法です(下がる場合は親指の爪側を
使ったりもします)。
打ち込みにおいては狭いタイミングの中に音符を細かく置く事になりますが、
その時に音符ひとつひとつが孤立しないようにしましょう。
奏者によっては、手のひらを使って4~5個の鍵盤をまとめてグリッサンド
する場合もありますが、通常はゲートタイムが鍵盤2~3個分重なるように
すると効果的です。

OrganGliss.png
↑グリッサンドの例。
この例は図を見やすくする為にベロシティを段階的にして音符の幅も広めに
してありますが、実際にはベロシティは一定、幅も演奏によっては1拍分や
半拍分だったりと狭くなります。

良く見ると、次の音符にゲートタイムが重なっていますね(下の棒グラフの
色が濃い部分)。
ここでは2音しか重ねていませんが、ロックオルガンなどの場合は更に重なる
数を増やしたりすると、より激しいグリッサンドになります。
グリッサンドはステップ入力ではなかなかそのニュアンスが再現し切れない
ので、グリッサンドだけ実際の鍵盤を使ってリアルタイム録音した方がより
リアルになります。


●ドローバーについて
オルガンはドローバーというものを備えていて、基音Cに対し
・16'     1オクターブ下    ' はフィートと読みます。
・5 1/3'   5度G
・8'      基音
・4'      1オクターブ上
・2 2/3'   12度G
・2'      2オクターブ上
・1 3/5'   17度E
・1 1/3'   19度G
・1'      3オクターブ上
を重ねる事が出来、それぞれの音量を調整することで複雑な音色を作る事が
出来ます。88Proは元々このような倍音を一定割合で含んだ音色が収録され
てはいるのですが、個別に調整出来るような高級な機能はありませんので、
どうしても再現したい時は複数のMIDI Ch.を使って重ねるしかありません。


■PC#17:Organ 1
いわゆる普通の電子オルガンです。D-50やJUNOなどのシンセサイザ風の
ものも含まれています。Bank 16:60's Organ 1 などビブラートコーラスが
かけやすいように、元々MOD LFO Rateの値が速く設定されている音色が
多いので、これらはモジュレーションを深くかけた状態で演奏すると往年の
トランジスタ・オルガンっぽい感じが出せます。

■PC#18:Organ 2
2はパーカッション・オルガンです。パーカッションといっても、打楽器の
事ではありません。倍音(4'や2 2/3)を減衰音で鳴らす事で鳴り始めにアタッ
ク感を持たせたサウンドの事を指します。
88Proではこの倍音を消す事は出来ないのですが、一部の音色(Bank 2:
E.Organ 16+2 やBank 32:Perc.Organ)は、Decayタイムを上げると
パーカッションの部分も一緒に伸びていくので、Decayの値で倍音の聞こえ
方を変化させられます。
※但し倍音の減衰時間が長くなるだけで、持続音にはなりません。


■PC#19:Organ 3
いわゆるロックオルガン系です。Bank 0の Organ 3 はさておき上のバンク
にはレスリースピーカ、いわゆるロータリーオルガンとしてかなり良い音が
揃っています。
※ロータリースピーカについては後述。

Bank 8:Rotary Org. は便利な音色で、ベロシティ112以下ならSlowの音、
ベロシティ113以上ならFastの音、とベロシティで切り替えが可能です。
当然ベロシティを変えると音量も変化してしまいますが、あまり音量に差を
付けずにSlow / Fast を使い分けたい場合は、ベロシティの感度を変えて
みると良いでしょう(x=チャンネル番号、SS=チェックサム)。

■VELOCITY SENSE OFFSET
41 10 42 12 40 1x 1B 5A SS


オフセットを40H(64)→5AH(90)とする事でベロシティの感度を底上げする
ので、極端に音量が変化しなくなります。その代わり切り替わりがシビアに
なるので少し強く弾いただけで Fast の音に切り替わってしまう事もあります
が、これを設定するだけでもノーマル状態よりは音量変化が小さくなります。
EFX 47:Rotary Multi を使うとより過激なロータリーサウンドに出来ますが、
EFXが空いていない場合に使えます。

EFX:Rotary Multiを使って名機・ハモンドB-3のような激しい音を出したい
なら、Bank 17/18:Rock Organ 1/2 が良いでしょう。


■PC#20:Church Org.1
チャーチ、つまり教会に設置されているパイプオルガンの事です。
個人的にはパイプオルガンと言えば トッカータとフーガ ニ短調 を真っ先に
思い浮かべる訳ですが、教会のように石造りで天井が高く広大な空間で演奏
されるので、リバーブを深くかけると良いです。但しかけすぎると当然音が
不明瞭になって、何を弾いているのか分からなくなるので程々に。

パイプオルガンは2~4段の鍵盤と足鍵盤の構成になっているので、両手+
足の3パートという事になりますが、パイプオルガン主体で鳴らす場合は
それぞれのパートにパンを振って、音の分離を良くすると良いでしょう。

音源の特性上、C2以下が不明瞭になりがち(多分ですが、F#2以下の音は全て
1波形を使い回している)なので、オクターブ上を薄く重ねたりすると良いかも
知れません。


■PC#21:Reed Organ
小学校の音楽室にあるような、足踏み式のオルガンですね。この音色自体は
特筆すべき事がないのですが(笑)、カットオフ周波数を+10~15(74~79)
くらいにしてやると高域が出てくるので、鍵盤ハーモニカっぽく使えます。
鍵盤ハーモニカとして使う場合は、ベロシティとCC#11:Expressionに
よる抑揚をしっかり付けるようにしましょう。



●ロータリースピーカとは?
キャビネットの中にウーファ(低音)・ツイータ(高音)2つのスピーカが付いて
いて、スピーカの前面にロータ(ウーファ側)、ホーン(ツイータ側)が設置され
ています。
ロータとホーンはベルトでモータに繋がれており、電動で回転する仕組みに
なっているのがロータリースピーカです。
音の出る開口部が回転する事によって、ドップラー効果を利用したうねり
起こり、これがロータリオルガンの特色となっています。
モータの回転は奏者によって演奏シーンに合わせて手元でFast・Slow・Stop
などの操作を行う事が出来ます。ハモンドのModel 122が有名。

余談ですが、ロータやホーンではなくスピーカそのものをぶん回すという
力業で同様の効果を生み出すヤマハ RA-70/100/200シリーズなども有名。


88ProにはEFX 47:Rotary Multi というロータリスピーカのシミュレートが
出来るエフェクトが内蔵されていますが、これが今ひとつなのです。

このEFXはどうも低域、つまりウーファー側の回転が不明瞭なのです。他の
高級なシンセサイザのオルガンサウンドを聴くとちゃんと高域・低域両方が
回っている感じがしっかり聴き取れるのですが、このEFXは高域ばかり出て
いて、低域の回っている感が分かりにくいのが難点ですね。
何故かと言いますと、高域は左右をグルグル回るように鳴るのに対し、低域
はパンが中央から変化しないので、回っている感があまり出ない
のです。

EFXの設定項目にEQがあり、
・EQ L Gain
・EQ M Fq
・EQ M Q
・EQ M Gain
・EQ H Gain
の5項目が設定出来るようになっています。これを使って低域側もしっかり
聞こえるよう調整すると良いでしょう。で、MとかQとかFqとか何ぞや?と
なるかも知れませんが、次のようになっています。

まず M は Middle、つまり中音域の調整パラメータという意味です。なので
M Gainは中域をどれだけ増幅(減衰)するかを決めるパラメータですね。

FqとQの関係を図に表すと、次のようになります。

EQ_Q.png

Fqは周波数 Frequency を表し、EQ M Gain で調整する周波数を200Hz~
6.3kHzの間で決める事が出来ます。

Qは、Fqで設定した周波数を中心に、どれだけの範囲の周波数を増幅・減衰
させるかを設定するパラメータです。Qの値が小さいと図の赤い範囲のように
狭くなり、大きいと紫の範囲のように広くなります。
特定の周波数だけガツンと増幅(減衰)させたい場合はQを小さく、ピーキーに
ならないように全体的にふわっと増幅(減衰)させたい場合はQを大きくします。
このQというパラメータは一般のエフェクターやアンプなどでも割と出て来る
ので、覚えておいて損はないでしょう。

EFXで低域をはっきり出したい時はFqの値を低め(630Hz付近)にしてM Gain
を上げ、音の分離を良くする為に RT Sept を127にすると良いでしょう。

それでもやはり、低域側は中央から動かないので物足りなさは残りますけど
ね…。これ、低域もちゃんと左右を往復して回ってる感が出ていれば、凄く
リアルな感じになるんですけどねぇ…そこだけが残念。



さて、次は何をやろうかな…何か考えときます。


posted by ゆう at 2016年09月19日| Comment(0) | 打ち込みテク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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