2023年11月02日

SC-88Pro の音が出なくなりました… #1

11月に入ったというのに夏日が続いていて地味に暑いのですが、DTMerの
皆様におかれましては全裸DTMが捗っておられる事とお慶び申し上げます。

さて、先日ちょっとある曲を録り直したいと思い、昔のDTM環境に仕立て
上げた させ子PC でレコンポーザを走らせました。しかし、Soundfontの
音は出るものの、S/PDIFに接続した88Proの音が全く聞こえません。


最初はPC側の設定や、サウンドカード SB Audigy のせいかと思っていたの
ですが、どうもそうではないっぽい。
光ケーブルをやめてアナログで接続してみるも症状変わらず。
88Pro のフロントパネルにあるヘッドホン端子にヘッドホンを繋ぐと、この
時点から既に音が出ていない事が判明。

正確にいうと、時々正常に鳴るんだけど「パツッ」というノイズと共に楽器
音が出なくなり、サー…とホワイトノイズが聞こえたり、かな~り小さな音で
ピアノの音が「ジュワ~ン…」と歪んで聞こえ、そのうちまた正常に鳴るように
なったり。

う~む…何だか良く分からないけど、とりあえずバラしてみますか。


88ProCapRplce01.jpg

分解ババンバーン! しています。写真はデジタル側基板を既に取っ払っていて
電源・アナログ回路の基板です。

2つ並んでいるレギュレータの片方が、やけに手前に傾いていますね。

88ProCapRplce02.jpg

裏返すと、足が3本ともハンダ割れしておりました。ここは手早く修復。


ですが、この部分はたまたま発覚しただけで、今回の症状とは直接の関係は
ないと思われます。

レギュレータは放熱板が付いている方が+12Vの AN78M12F、付いていない
方が-12Vの AN79M12F で、オペアンプ用の正負電源を作り出しています。
しかし今回の症状はこのアナログ回路に入る前の、デジタルデータのままで
信号を取り出している S/PDIF の時点で音が聞こえていないので、アナログ
回路は直接関係ありません。

怪しいのはデジタル回路側です。


88ProCapRplce03.jpg

デジタル回路側の基板を良く見ると、電解コンデンサの足に何やら緑色した
変なのが染み付いています。周辺そこかしこのスルーホールからも噴出して
いるので、これはコンデンサの液漏れでしょう。

まだパターンの腐食には至っていないので、軽症といった所か。良く見ると
ここ以外の電解コンも、微妙にお漏らし痕あり。その周辺のスルーホールは
油が滲み出たような模様も出ているので、全体的に漏れている模様。


まぁ発売から27年経っているので、そらコンデンサも劣化するでしょうね。
なので、全て交換する事にしました。
最初の写真の通り、アナログ側基板にも大量の電解コンが付いていますが、
こちらはチェックした所液漏れしているような形跡は見られなかったので、
今回は手を付けていません。
アナログ出力は普段から使いませんしね。


88ProCapRplce04.jpg

サービスマニュアルで確認すると、100uF 16V が2個、10uF 16V が6個の
計8個があるようです。全て表面実装。そしてバックアップ用電池の近くに
あるコンデンサだけ極性が逆で電池側が+。

回路図上で確認すると、これらの電解コンはICやLSIの電源ラインに入って
いるので、パスコンのようですね。

88ProCapRplce05.jpg

実際の基板での位置はここ。右下は既に交換済み。ハンダごてを当てると
いつも通りお漏らしコンデンサ特有の臭いがプ~ン。

表面実装の電解コンは外す時にパターンを剥がしやすいので、無理な力を
かけず片足ずつ、ゆっくり剥がします。ただ、ゆっくりと言っても過熱が
続くとそれもパターンを剥がす原因になるので、なるべく手早く。

SMDの電解コンの交換では時折、ペンチで電解コンをつかんで毟り取って
いるのを見かけますが、パターンを痛めるので絶対やめた方がいいです。
ハンダごて二刀流なら安全かつ楽に剥がせるんですけどね~。

ちなみに、goot ではSMD用に二股になったホットピンセットなるものが
売られているようです。これ便利だな、欲しい…しかしお値段が…。

88ProCapRplce06.jpg

交換しました。とりあえず全て普通のラジアルリードの電解コンに交換。
手前にあるのが取り外したSMDの電解コン。

これで直ってくれると有難いのだけど…。


88ProCapRplce07.jpg

テスト中。


残念ながら、症状は変わりませんでした。

その後も電解液に侵されていそうな部分をアルコール歯ブラシで掃除したり、
ハンダクラックを疑って全てのLSIやIC等の足をピンセットで突っついて、
動かない事を確認したり。腐食してパターンが途切れていないかをDMMで
チェック、コネクタ類やROMのソケット足の再ハンダなど、かなり細かい
部分まで確認しましたが、特に「ここが!」という所はありませんでした。


電源を入れると画面表示は正常だし、パネルボタンの操作も効いています。
音も正常に出ているのですが、しばらくするとパツッ!というノイズとともに
楽器音が出なくなり、サー…というノイズだけになります。それでも執拗に
PREVIEW ボタンを連打していると、かなり遠くかすかに楽器音らしき音が
ジュワ~ン…と歪んで聞こえたり、全く聞こえなくなったり。

かと思うと、しばらく放置していたら綺麗に音が聞こえるようになったりで
どうも動作が安定しません。

基板をドライバの柄で軽くコツコツ叩いたり、各ICやLSIをちょっと強めに
押してみたりしましたが、それでも症状は変わりません。


基板のパターンやハンダ付けの状態に問題が無いとなると、後はロジック系
の不具合しかないですよね~。テストモードでは一応RAMチェックもOKと
出ますが、音声だけダメっぽいのでLSP(DSP)か、LSPにぶら下がっている
DRAMの不具合か…。にしては、時々正常に戻るというのが解せない。


88ProCapRplce08.jpg

現状は、数時間ずっと電源を入れた状態にしています。鳴らしっぱなしには
出来ないので時折PREVIEWボタンを押して楽器音が鳴るかどうかを確認して
いますが、やはり気付くと音が出なくなっています。

そして次に試した時は普通に鳴ったり。もう訳が分からないよ。

しばらく修理には時間がかかりそうです。


次:SC-88Pro の音が出なくなりました… #2



posted by ゆう at 2023年11月02日| Comment(0) | SC-88Pro | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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