してその後快調に使えていたのですが、残念ながら再発しました。
一昨日、以前作ったデータを修正しようと88Proの電源を入れて鍵盤をカタカタ
してみたら、まーた音が聴こえない。
PREVIEWを連打すると、たま~に正常な音が聴こえていたかと思えばパツッ!
とノイズが鳴り、それ以降はサー…とノイズが聴こえたりかすかに楽器音が
ジュワ~ン…と鳴ったり。で、放置しているとまたパツパツッ!と鳴って正常に鳴る
ようになったりで、以前と全く同じ症状再び。
まじか…。
修理後は問題なく使えていて完全復活を確信していたので、また同じ症状が
発生したと正直愕然としまして、ショックでボーッとしてしまいました。
まぁそうは言っても「時々正常に戻る」のであれば、直せる余地は残されて
いるので、また細かく見て行きますか。
直さないと気になって夜しか眠れません。
再修理ってメンタルやられるなぁ…😞
まずは88Proのデジタル側ブロックダイアグラムを見ます。
液晶表示、パネル操作、MIDI信号の受信などロジック部分は正常に動いて
いるようなので、音に関わる部分を見てみると、赤枠で囲った部分が発音に
関わっているようです。
XP3 は RA01-005 Custom Sound Generator です。デジタル側基板で
最も大きいサイズのLSI。LSPはBOSSロゴが入ったDSPチップ。
そしてそれらにぶら下がっているDRAMが3つに波形ROMが5つ。
この辺が怪しいのは変わりありません。
基板上のこれらIC/LSIチップの位置関係はこんな感じ(部品面)。
で、最初はまたチップの足のハンダクラックチェックから。
前回はピンセットでつまんで左右にクニクニしましたが、今回は先端が鋭い
OLFAのデザインナイフの刃を使って、下から引っ掛けるように足をはじいて
浮き上がって来る足がないかを、全てのチップでチェック。
結果、全て良好でした。浮き上がったり動いてしまう足はありません。
PREVIEWを連打しながら、全てのチップの足を割りばしの先っちょでグッと
押して回り、症状が変わる部分を探しましたが、これも空振り。
う~ん、何がいかんと…。
なので、ちょっと視点を変えてみようかと。
前回の修理作業でチップの足の再ハンダを行ったけど再発した、という事は
チップだけを重点的に見ても仕方ない気がする。全ての部品を疑わなくては。
という事で、チップ以外の部品を片っ端からグイグイ押していたら、怪しい
部分を発見。
この中に怪しいヤツがいます。
この辺。
お前だ!
RA20、100Ω×4の抵抗アレイですね。こいつを指で押すと正常な音が鳴る
ようになり、指を離すとまたパツパツッ!と鳴ってノイズだけになります。
極限まで拡大しても、ハンダ付けはちゃんと付いているように見えます。
足の表面に点や傷がありますが、これはデザインナイフでド突いた跡。
他の原因を疑って全ての小さなICやトランジスタ、抵抗アレイもグイグイと
押して確かめましたが、症状に変化はありません。
このRA20だけが押すと明確に影響します。
RA20のハンダ付けをやり直しました。ハンダごてを当てると、お漏らしした
電解コンと同じあの臭いが漂って来ます。
すぐ上にあった2つの電解コンを前回交換したのですが、この電解コンからの
電解液で侵されていたみたいですね。
このRA20が一体どこに絡んでいるのか、回路図を見てみると…?
ここです。RA01-005 の5・6・7ピンに繋がっており、このRA20を介して
コネクタ CN5 に行き、ここからアナログ側基板に繋がります。この先はと
言えば、当然DACを通ってアナログ出力端子に行くので、この抵抗アレイ
RA20は楽器音、DSP等を含めたデジタル信号の最終出力の経路です。
そしてこの CN5 には、自作したS/PDIF基板も繋がっています。
つまり、アナログ出力とS/PDIFどちらも、このRA20を経由して繋がる事に
なるので、ここでハンダクラック等接触不良が起こるとどちらの出力からも
音が出なくなる訳です。
たまに正常に鳴ったりしていたのは、微細なハンダクラックで接触したり
しなかったりしていたからみたい。
ようやく真犯人を捕らえた気がします。このRA20のハンダ付けをやり直し
してからは、以前のような症状が起こらず正常に発音するようになりました。
しばらく調子が良かったのは、付近のチップの足を再ハンダした時に、接近
したハンダごての熱で一時的に導通が良くなったとか、そんな感じかな。
抵抗アレイは100Ω×4、その内1つは使われていないので、また同じ症状が
出た時は普通の100Ω抵抗3本へと交換してしまおうかと思います。
抵抗アレイの下にしみ込んだ電解液は、表面からは除去できないので、また
腐る可能性大です。
でも、確定とまでは行かないもののほぼ確でこいつが原因ぽいので、それが
分かっただけでも収穫は大きいです。
まぁ、またしばらく様子見ですね。現在も発音テスト中。
頼む、壊れないでくれ…わしの88Pro。
※2023/11/30 追記
取り敢えずリハビリがてら、昔作ったデータを修正して1曲録ってみました。
今の所大丈夫っぽい。
ツインビー レインボーベル・アドベンチャー Battle面BGM
'May the Best Bee Win ' / TwinBee RAINBOW BELL ADVENTURES (Cover)
※2024/12/14 追記
あれから1年経ちましたが、SC‐88Proは正常に動作しています。やはりこの
症状の原因は、抵抗アレイ RA20 のハンダクラックが原因だったようです。
交換した電解コンがまたお漏らししなければ、多分もう大丈夫。


自分の機体でも「RA20」付近のコンデンサの液漏れの影響を受けており、「RA20
」を再度はんだ付けし直したことで一発解決しました。
この情報のおかげで、最短の時間で修理を行うことができました。
感謝・感激です!
ご来訪&コメントありがとうございます。
当ブログの記事が修理の力添えになったようで光栄です。RA20は
両サイドが電解液に侵されやすいので、この部分ウイークポイント
になり易いみたいですね。
ハンダ付け修正後は、アルコール等でしっかり洗浄してください。
特に、RA20 という印字のすぐ下にある3つのビア(スルーホール)も
洗浄しないと、ここが後々残った電解液で腐るかも知れませんので。
修理成功おめでとうございます。88Proを末永く可愛がってあげて
くださいね。
RA20のシルク印刷の下にあるビア3つは自分も気になっていまして、清掃後にハンダメッキしてしまいました。(というか再ハンダ付けの際に偶然ハンダが盛られてしまっただけですがw)
そもそもパスコンから液漏れしているわけなので、本来はコンデンサも貼り替えるべきなのですが、とりあえず直って音が出ているので、見て見ぬフリをしています。(汗)
USB-MIDI I/Fを使って過去のデータをTMIDI Player等で再生しているだけなのですが、88Proが復活したのが嬉しくて、その後も様々なデータを再生させて楽しんでいます。(^^)
ただ、Windows版のレコンポーザを持っていないので、かつて自分の作ったRCPファイルを開いて編集できないのが、少しだけ寂しかったりしますがw
ビアは多数ありますが、なぜかハンダが載っている所と載っていない所と
まばらなんですよね。どうせなら全部載せておいてくれたら腐る事もなく
楽なんですが😓
電解液は成分がかなり強い上にあちこち広がるので、出来る限り早く対処
された方が良いと思います。ロジック系が侵されると、完全に動作しなく
なったりしますので。
フリーのシーケンサとしては、
Domino( https://takabosoft.com/domino )
Music Studio Producer ( https://www.frieve.com/software/music-studio )
などがあり、レコポを扱える方ならすぐ慣れると思いますよ。レコポ用の
ファイルは、
G18/G36 → RCP/R36 コンバータ G2R ( https://www.vector.co.jp/soft/dos/art/se044188.html )、
レコポファイル(.RCP, .R36, .G36, .MCP)を標準MIDIファイルへと変換
rcm2smf ( https://shingo45endo.github.io/rcm2smf/ ) ※Webツール
などと組み合わせれば、上記フリーのシーケンサで読み込ませて再編集も
可能になります。レコポファイルは結構多くのツールが昔からあるので、
興味がおありでしたら色々お試しください。