2025年03月19日

SC-88Pro 音色に関する四方山話

3月も下旬にさしかかりましたが、DTMerの皆さまにおかれましては春先も
全裸DTMが捗っておられる事とお慶び申し上げます。

今回で555記事目。

今回は、SC-88Pro に搭載されている音色についてグダグダっと色々書いて
みる記事となっております。
ハードウェアに関しては以前の記事 SC-88Pro 発売20周年 で詳しく書いて
いるので、ソフトウェア的な面を見てみようかと。尚、全ての音色について
書くのは現実的ではない(1,117音色もある)ので、特徴的な音だけを挙げて
います。

プログラム・チェンジ番号、バンクセレクトMSB、音色名となっています。
尚、直接Rolandに確認を取っている訳ではなく憶測も含まれているので、
その辺にご注意下さい(笑)。


PC#:003 MSB:001 EG+Rhodes 1
Piano 3は硬いピアノ音色で、いわゆるエレクトリック・グランドピアノの
音ですね。音色名の通り、Electric GrandにRhodes(ローズ)の音を重ねた
音色です。
ヤマハ CP系(CP-80等)の音が元となっており、それっぽい音がRolandでは
RD-700などの機種に搭載されていました。
EGRhodes.jpg

PC#:005 MSB:016 FM+SA EP
FMは言わずもがな、FM音源系エレピ。SAはRD-1000等に搭載されていた
SA(Structured Adaptive)音源。両者のエレピを重ねたのがこの音色です。
rd-1000.jpg

PC#:017 MSB:028 VS Organ
倍音の豊富な電子オルガン系の音ですね。これはほぼそのままと言った感じ
ですが、シーケンシャル・サーキットの Prophet VS に VS Organ という
名の音色が入っています。それを真似た音でしょう。
ProphetVS.jpg

PC#:031 MSB:002 Dazed Guitar
ディストーション系の歪みギターに、オクターブ下のエレキベースが重ねて
あるような音ですね。
この音はジミー・ペイジ(Led Zeppelin)の Dazed and Confused っぽい
気がしますね…。ギターとベースがユニゾンする辺りの感じが出てます。

PC#:039 MSB:006 JPMG Bass
moogっぽいシンセベースですが、持続音ではないですね。これについて
色々と考察してはみたものの、JPMGが何なのかは良く分からず。
JUPITER系とmoog系を混ぜたものかなぁ?と思ったり。

PC#:039 MSB:--- TB303~
009 TB303 Bass
011 TB303 Bass 2
013 TB303 Saw Bs
014 Rubber303 Bs
015 Reso 303 Bs
017 303 Sqr Bs
018 TB303 DistBs
これらはRolandが昔販売していた Bass Line TB-303が元ネタですね。
ベースに特化したアナログシンセで、シーケンスフレーズをループさせたり
CV/GATEで鳴らしたり出来ました。
TB303.jpg

PC#:040 MSB:023 KG Bass
KORG系のシンセベースですかね。サイン波っぽいシンセベースです。
ちなみに PG#:081 MSB:010 に KG Lead という音色がありますが、この
音色もアタックが微妙に違うだけでほぼ同じ音です。

PC#:040 MSB:005~007 MG~
005 Mg Oct Bass1
006 MG Oct Bass2
007 MG Blip Bs
これらはシンセベースとして代表的な、moog(モーグ)の音ですね。なぜか
005 だけは Mg となっていますが。
88Proではこのように代表的なモデルに似た音を略称で表記している音色が
あります。シンセ音色に固まっているので、アコースティック系をまるっと
すっとばしてその辺りに移りましょう。

PC#:055 MSB:016 VP330 Choir
YMOが使用していたヴォコーダの名機です。海外でもフィル・コリンズや
ヴァンゲリスなど多くのアーティストが使っていました。その音色を模した
もの。88Proでは実際にヴォコーダとしては動作しないので、この音色では
「Ah~」というコーラスサウンドになっています。
VP-330.jpg


なお、これ以降は略称が多く出て来ますが大抵は有名メーカや有名な機種の
略称です。オルガン、ギター、シンセベース、シンセブラス、シンセリード、
シンセストリングスに多いですね。

MG:moog(モーグ)
FM:FM音源系
KG:KORG
P5:シーケンシャル・サーキット Prophet5
OB:オーバーハイム
2600:Arp 2600
CS:ヤマハ CS-80
JP-8:JUPITER-8
JP-4:JUPITER-4
JUNO:JUNO系
LA:LA音源っぽい音色
D-50:そのまんまRoland D-50
OldSynths.jpg

SH-5、SH-101も昔Rolandが販売していたシンセの型番ですね。
SH-5SH-101.jpg

ギターでは…。
JC:Jazz Chorus(Rolandが販売しているギターアンプ、JC-120)
TC:テレキャスター系
LP:レスポール系
となっております。
JC-120.jpg


PC#:081 MSB:004  CC Solo
矩形波のようなリードサウンドに、エレピのアタックを重ねたような音色。
この音色を多用する CC さんと言えば…もちろんチック・コリアですねぇ。
ソロにディレイを深くかけてやると、とても印象的になります。

PC#:081 MSB:006  LM Square
このほわほわした矩形波リードでLMと言えば、ライル・メイズですよね~。
アタック感はありませんが、ディレイと組み合わせる事で幻想的な雰囲気に
なりますね。Close to Home などの曲で聴く事が出来ます。

PC#:082 MSB:006  GR-300
GR-300 はRolandが販売していた、アナログ音源のギターシンセサイザ。
ギターの6弦各1本に2VCOが割り当てられた6音ポリの音源部を持ちます。
パット・メセニー、ジミー・ペイジ等が愛用していました。
88ProではSaw系のリードサウンドになっています。
GR-300.jpg

ちなみに以下の動画でライル・メイズの LM Square っぽい音色でのソロと、
パット・メセニーのギターシンセによるソロが聴けます。オリジナル改造が
施されたグレコシェイプの G-303 と組み合わせ演奏しています(後半。この
時の音源は恐らくシンクラヴィア)。
ドラムがポール・ワーティコなのも(個人的には)見どころ。

パット・メセニー グループ Pat Metheny 「Third Wind」



PC#:082 MSB:007  LA Saw
ちょっとブザーっぽい感じがする、LA音源系のSawです。D-50に似た音が
あったような。

PC#:082 MSB:017  PM Lead
アタックとリリースにピッチEGが付いた、変わった音色です。
う~ん、シンセ奏者でPMというと、パトリック・モラーツくらいしか思い
浮かばないんだよなぁ…。シンセの型番でPM-~てのもない気がしますし。
THE BEATLES の Maxwell's Silver Hammer の最後の方でもピッチEGが
かかったシンセの演奏が聴かれるけど、これを弾いているのがポール・
マッカートニーみたいなので、PM なのか…。結局分からず。

PC#:088 MSB:006 SH-5 Bs.Lead
これも上の方で出て来たRoland SH-5の音です。キャピタルの Bass & Lead
同様にベースでもリードでも使えるという音色ですが、オクターブを目一杯
下げると、8Hzというもはや音として聴き取れないパツパツ音まで出ます。

PC#:125 MSB:011 MC-500 Beep
クロマチック音色の最後はこれ。Rolandが販売していた MC-500 という
シーケンサの、リアルタイム録音時に鳴るクリック(メトロノーム)音かな。
A#5 G5 G5 G5 と鳴らすとそれっぽくなります。
MC-500.jpg


では最後はドラム音色系に行きますか。

PC#:026 TR-808
PC#:029 TR-606
PC#:030 TR-707
PC#:031 TR-909
これはもう説明する必要がないくらい有名ですね。Rolandが販売していた
歴代のリズムマシンの音色です。

PC#:118 MSB:019 909 SD
PC#:119 MSB:008 808 Tom
PC#:119 MSB:011 606 Tom
PC#:119 MSB:012 909 Tom
も同様に、これらのリズムマシンからスネアやタムだけを抜き出した音色。
TR-606707808909.jpg

PC#:028 CR-78
デジタル音源が出てくる前の時代にRolandが販売していたリズムマシンの
音色です。この時代にあったリズムマシンの多くは予めプリセットされて
いたパターンを延々演奏するだけでしたが、CR-78はユーザがパターンを
組んで鳴らせるという画期的マッスィーン。
CR-78.jpg


という訳で88Proの一部音色について、色々グダグダと思うところを書いて
みましたが、こうやって由来なんかを紐解いてみるとシンセの歴史が見えて
来て面白いですね~。

なかなか書くの疲れましたが🙄



posted by ゆう at 2025年03月19日| Comment(0) | SC-88Pro | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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