2023年11月12日

90年代のポータブル・キーボード

何だか今日から一気に冷え込み冬が来た感がありますが、DTMerの皆様に
おかれましては冬の全裸DTMが捗っておられる事と、お慶び申し上げます。

所で、今年って秋ありましたっけ…?


それはさておき、今回はただ単に昔のポータブル・キーボードについて語る
だけの内容となっております。

唐突ですが、自分は80年代後半~90年代半ばのPCM音源が流行り始めた頃
のキーボードが大好物であります。
まだまだ波形メモリの価格が高かった時代なので、音色のクオリティ自体は
さほど高品位ではなかったものの、何と言うか各社独特のクセと言いますか、
この時代特有の響きみたいなものがあるんですよね~。


子供向け~上級者まで幅広くカバーした機種を出していたのは主にヤマハと
カシオですが、ヤマハは結構長い期間FM音源を使っていましたね。その頃
カシオは既にPCMへと移行していました。

性能・価格の近い所で比べてみますと…。

CASIO MT-750 (1989/11 発売 税抜¥46,000)
音源:スーパーCD音源 220音色 (PCM)
リズム:同上

YAMAHA PSS-580 (1989/06 発売 税抜¥36,900)
音源:FM音源 100音色
リズム:PCM

ヤマハはこの次の世代、1990/08発売の PSS-590 から音源が全てPCMの
AWM音源に切り替わります。


カシオはこの辺りの世代から急に搭載音色数が増えて220音色も搭載して
いますが、この直前(CD音源モデル)は基本20音色しかありませんでした。
20音色のうち2つを重ねる事で 210ToneBank としていた一方、ヤマハの
FM音源モデルは最初から100音色を搭載しているモデルが多かったです。

これはまさに波形メモリの容量のせいですね。

PCMは音そのものをデジタルデータとしてメモリに持っているため、どう
してもその全体の容量は大きくなります。
しかしFM音源は1つの音色を作る為のパラメータが数10バイトで済む為、
ひとつの音源チップさえ載っていれば、パラメータを変えるだけで多彩な
音色が作れ、更にユーザがパラメータを変更すれば内蔵にない音色も自由
に作れるという強みがありましたね~。

ただ、やはり音のクオリティというか実在する楽器を模した時のリアルさ
では圧倒的にPCMの方が良かったので、リアルさを捨てて音色数を取るか、
少ない音色数でもリアルな方を取るかで結構悩むものです。


結局自分は生楽器好きなので、リアルさを求めてカシオのキーボードにだけ
注目し、PT-180(これはPCMではないですが)、MT-240、MT-540、
MT-640、MT-750と買い継いで来ました。

casio_keyboards.jpg
まぁ見事に全機種ミニ鍵盤ですが(笑)。


ヤマハは今も手元にある PSR-500 を買った位です(ヤフオクで1円で買った
ジャンクのPSR-310もありますが)。

PSR500PSU_05.JPG

これ別にヤマハが嫌いだった訳ではないです。FM音源にも魅力的な音色は
たくさん入っていたのですが、カシオに比べるとお値段が高かったんですよ
ねぇ。当時はガキんちょだったので、割高なヤマハのキーボードが買えない
という理由もあったりします。買えるものなら買いたかった。

なので、ヤマハのキーボードは楽器店やデパートのレコードショップに展開
されていたキーボードコーナーで弾いたり、デモ曲を聴いたものです。


だからでしょうか、キーボード内蔵デモ曲はいつでも聴けるカシオよりも、
お店でしか聴けないヤマハの方が深く印象に残っているんですよね。

また、この頃のヤマハキーボードのデモ曲は内蔵音色を生かしたオリジナル
曲が収録されていたのも良かったですね。
カシオはどちらかと言うとA列車やシャカタクのNight Birdsなど、既存曲を
収録していましたから。


なので、最近これらを良く聴いていた頃を思い出しては、カヴァーなんぞを
やっていたりする訳ですが。

YAMAHA PSS-480 / PSS-580 / PSS-680 Demo Song Cover
内蔵デモ曲カヴァー



YAMAHA SHS-200 Demo Song Cover 内蔵デモ曲カヴァー


YAMAHA PSR-37 / PSR-47 Demo Song Cover 内蔵デモ曲カヴァー


YAMAHA PSR-27 / PSR-28 Demo Song Cover 内蔵デモ曲カヴァー


Casiotone MT-240 Demo Song "Night Birds" on CASIO MT-750


ヤマハは本当にかっこ良い曲が多いなぁ。誰が作曲しているんだろう。
一部オーケストラヒットが出て来ますが、この時代のオケヒはそれほど質が
良くなかった年代なので、88Proのオケヒは使わずあえてMSGSの音を使用
しています(BandLabの音色にはオケヒがありません)。


ただ、最近のポータブル・キーボードはどちらかと言うとお子様のおピアノ
練習用にシフトしてしまっていて、クラシックピアノの曲が多いですが。


あ、せっかく SC-88Pro が直ったので、単体で戦国伝承2001の 雲外蒼天 を
作りました。

雲外蒼天 Blue Heaven - SNK 戦国伝承2001 / Sengoku3
伊太利 (ITALY) Stage BGM (Cover)



相変わらず投稿からしばらく経っても再生数が3ケタ行かない過疎チャンネル
ではありますが…。完全に個人的な趣味でしかやっていないしYouTuberでも
ないので、自分の好みの曲しか投稿しておりません。
「刺さる人には刺さる」そんな感じで良いのです。

まぁ基本Twitterとかに貼ってもほぼ全く反応がないので、投稿している意味
あるんかな?とかちょっと思ったりしますけど。


ここに貼ったのも宣伝ではなく、どちらかというと自分の作業用BGMとして
いちいちYouTubeに行かずとも聴けるようにという目的だったりします。
普段、こうやって自分の打ち込んだ曲を聴いている事が多いので。
そして後になって、ここの音が違う、リズムが違う、コードが違う、パート
バランスが悪い、そもそもアレンジが気に入らない等々の気付きが発覚して、
聴くたび毎回その部分が気になって仕方がなくなる訳ですが。


まだ他にもヤマハのキーボードは好きなデモ曲が何曲かあるので、それらを
またカヴァーでもしようかな。


今日のこの記事いったい何。



posted by ゆう at 2023年11月12日| Comment(0) | 楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月17日

電子楽器のお手入れあれこれ

シンセや音源モジュール・ミキサ・エフェクタ等は基本ケース等に入れたり
せず、丸出しのまま設置している場合がほとんどなので汚れやすいですね。
そこで今回はこれら電子楽器の手入れについて書いてみようと思います。

楽器が綺麗になるとやる気も湧いてきますからね。
(※効果には個人差があります(笑)



■用意するもの

掃除をするからにはそれなりの準備が必要ですが、特殊なものは要りません。
全て安価で手に入るものばかりなので、一通り揃えておくのも良いでしょう。

●クリーニングクロス
楽器屋さんで数百円で売っています。開封直後は水を弾いてしまう物がある
ので、数回洗剤で洗っておくと良いでしょう。

●ファイバークロス
100円ショプー等に売っています。細かい繊維で織り込まれたクロスで、表面の
細かいキズに入り込んだ汚れも綺麗に落とせます。

●綿棒
ドラッグストア等で100円くらいでしょうか。凹んだ部分の掃除等に役立ち
ます。

●メラミンスポンジ
「激○ちくん」のようないわゆる繊維スポンジです。クロスで拭いても取り
切れない汚れも、いとも簡単に落としてくれます。

●歯ブラシ
細かい部分に溜まったホコリやゴミ等を除去するのに最適です。毛先が細い
もので、硬さが「やわらかい」歯ブラシの方が傷をつけません。
使用済みのものは毛先が開いて使いづらいので、新品を用意しましょう。

●マジックリン
言わずと知れた家庭の汚れ落としの強い味方、みんな大好きマジックリン。
原液では濃すぎるので、100円ショップ等で霧吹きを買って来て5倍程度に
薄めて使えば長持ち。

●台所用洗剤
食器洗いに使う洗剤は油汚れに強いので、効果的に汚れを落とせます。使う
時は水で濡らしたクロスに1~2滴たらし、全体になじませてから固く絞って
使うようにしましょう。

●無水エタノール(または無水アルコール、IPAとも)
ドラッグストアで500ml 1,000円前後で売ってます。消毒用エタノールでも
代用出来ますが、無水エタノールの純度がエタノール99.5v/v%なのに対し、
消毒用の場合は80v/v%前後と水分が多く電子楽器にはよろしくないので、
無水を選ぶと良いでしょう。保管に注意が必要です。
燃料用アルコールは人体に有害なので、避けた方が良いです。

※とは言え燃料用は圧倒的に安い(500ml 2~300円前後)ので、ダバダバと
湯水のように使う自分は普段燃料用を使ってますけどね(笑)。アクリル等に
使用しない限りこれまで特に変質・変色等の問題が起きた事はありませんが、
特に目に入ると危険ですので、使うなら十分注意しつつ自己責任で。

●エアダスター
PCの掃除などに使われるものです。PCショップ、ホームセンター等に売って
います。最近は電動の物もありますね。缶の物はすぐパワーダウンして空に
なってしまうので、電動式が良いかも。
エアコンプレッサ式は圧を下げないと、強力すぎて使いづらいかも。

●接点グリス
これは「あった方が良い」程度なので、無くても良いです。タミヤのものが
有名です。電極の表面に薄く塗ると酸化から守ってくれるので、接触不良を
減らせます。「導電グリス」とは違うので注意が必要です。
接点復活剤は使ってはいけません(後述)。

●ピカール金属磨き
これも「あった方が良い」程度なので、無くても良いです。サビや酸化膜、
汚れが酷く洗剤等では落ちない金属の汚れも、ピカールで磨けば一網打尽に
できます。
溶剤が含まれた研磨剤なので、樹脂部分に付いてしまった時は台所用洗剤を
染み込ませたクロスでしっかり拭き取っておきます。


必要なものはこれくらいでしょうか。次に、部位別にまとめてみましょう。



■Let's お掃除

●外装(鉄板)
ユーザの触れる面が樹脂製で、後ろのカバー部分が金属になっている機器は
多いのですが、大抵の場合は塗装が施されている場合が殆どですね。
ホコリだけなら乾拭きでも大丈夫ですが、喫煙環境の場合はマジックリンを
染み込ませたクロスで拭いて行けば、さほど苦労する事もなく綺麗になるで
しょう。しつこい汚れはファイバークロス、メラミンスポンジに台所用洗剤
やマジックリンを染み込ませて軽くこすります。

但し背面の端子周りやネジの頭がある所は錆びやすいので、あまりガシガシ
磨いたりしない方が良いです。錆びた部分は紙やすりで軽く錆びを落とし、
油性の黒マジックで塗っておくだけでも十分です。

●外装(樹脂)
楽器の表面はユーザが直接手で触れるので、汚れやすいです。簡単な汚れで
あれば濡らしたクロスに台所用洗剤を1~2滴たらして固く絞ってから拭き、
しつこい汚れの場合はマジックリンをクロスに吹き付けて拭きましょう。
洗剤で汚れを落としたらクロスを一度しっかり洗い、固く絞ってから水拭き
しておくと、残った洗剤の成分でスジになる事もありません。
ファイバークロス、メラミンスポンジ等を樹脂に使うと、細かい傷が無数に
付いてしまうので避けましょう。

樹脂部分はアルコール等の溶剤を使わないようにしましょう。アルコールは
樹脂を侵すので、拭いた直後は綺麗になってもしばらくしてから変色・変形
したり、ひび割れたりする事があります。

●鍵盤
白鍵は汚れが結構目立つ部分です。ここもやはり台所用洗剤やマジックリン
を染み込ませて固く絞ったクロスが一番良いでしょう。
側面や根元の部分は機種によってとても清掃がしづらいのですが、無理やり
綺麗にしようとすると鍵盤を破損したりする事もあるので、程々に。

また、経年で黄ばんだ鍵盤は拭いても綺麗な白色には戻りません。黄ばみを
落とすには、以前やったレトロブライトの手法が必要です。

●ボタン類(樹脂)
ボタンやつまみ等の凹んだ部分は歯ブラシが役立ちます。何も付けずに軽く
こするだけでもホコリを取り除けます。しつこい汚れ・手垢等は歯ブラシに
少量だけマジックリンを付けると良いでしょう。
ツマミ類は外した方が細かい部分も綺麗に出来ますが、紛失しないよう注意
して下さい。またスライダは隙間にホコリや洗剤等の液体を落とさないよう
注意します。

●ボタン類(ラバー)
ゴムのような材質のボタンは水で濡らして固く絞ったクロスで軽く拭きます
が、クロスの繊維がまとわり付いてしまう場合は不織布を使うか、少しだけ
台所用洗剤を足すと良いでしょう。
ボタン面に印字がある場合は強く拭くと剥がれてしまうので、力を入れずに
拭きます。

●ディスプレイ
ディスプレイはほとんどの場合、表面に保護パネルが付いていますが、この
パネルは大抵アクリルなので、ファイバークロスやメラミンスポンジは厳禁。
傷だらけになってしまいます。アルコールなどの溶剤系の使用もダメです。
台所用洗剤やマジックリンを薄く染み込ませたクロスで軽く拭いて、洗った
クロスを固く絞って水拭きが良いでしょう。
液晶の場合は強く押さないようにします。

●プラグ・ジャック
標準(6.3mm)ジャックの場合は、アルコールを染み込ませた綿棒を数回出し
入れして中の汚れや酸化膜を落としてから、新しい綿棒に接点グリスを薄く
付けて、内部の接点に塗布します。
ミニ(3.5mm)ジャックの場合は、綿棒の綿を毟って先を細くします。大抵の
綿棒なら軸の太さは2mm程度なので差し込む事が出来ます。標準ジャックと
同じ方法で清掃し接点グリスを塗ると良いでしょう。
汚れが酷すぎる時は、ピカールをごく少量付けたクロスで磨いてから上記の
手順で清掃すると輝きを取り戻します。

綿棒の毛を毟ったら指先で丸めて、綿が飛び出ていない状態にしてから使い
ましょう。内部の接点に綿が引っかかり残ってしまうと、それが接触不良を
引き起こす事になってしまいます。
また、奥まで入らないからと言って無理やり突っ込むのも厳禁。中で接点が
曲がってしまう事があります。

プラグはアルコールを染み込ませたクロスで拭きます。大抵の場合はこれで
先端の汚れは落ちますが、再度酸化するのを防ぐために接点グリスを薄~く
塗るのも良いでしょう。
金メッキ品は磨きすぎるとメッキが落ちてしまうので、程ほどに。
何度も言いますが、接点復活剤は使ってはいけません

以前も書きましたが、接点復活剤はシュッと吹けばすぐ改善されるので多用
しがちですが、内部では流れ出た成分がベットリ付き、余計にホコリを引き
付けたり、樹脂部分が変色したり割れたり、内部の基板や配線が腐食したり
する事があります。どうしても使いたい時は樹脂を侵さないタイプか、すぐ
揮発して成分が残らない接点洗浄剤を使うと良いです。



●コード・ケーブル類
台所用洗剤やマジックリンをクロスに染み込ませ、コードに軽く巻き付けた
状態で握りながらコードを引っ張ります。強く握ると断線する事があるので、
力をかけないようにしましょう。

同時に被覆もチェックして、裂けたり潰れたりしている箇所がないかも確認
しましょう。

●電源プラグ
普段からコンセントに挿しっぱなしにしている分にはそれほど汚れませんが、
そうでない機器は意外と電源プラグの刃が汚れやすいです。安定動作と最近
良く話題になるトラッキング火災を防止する為にも、プラグ及びその周辺の
汚れもしっかり落としましょう。
台所用洗剤やマジックリンをクロスに染み込ませて、汚れを拭き取ります。
清掃後はしっかりと乾燥させてから使用してください。

プラグ刃の酸化が酷い時は歯ブラシで擦るか、ピカールを綿棒に少量付けて
磨くと良いです。カッター刃先や紙ヤスリで削ったりすると、表面が細かく
凸凹になって接触抵抗が増えるので禁物です。

●冷却ファン
ファンが付いている電子楽器というのはそうそう無いのですが、付いている
場合は歯ブラシ等で軽くこすってファンガードのホコリを落とすと良いです。
この時、電源OFFの状態でこするとホコリが中に入ってしまいます。大抵は
機器の外へ排気する形で付いているので、電源ONでファンが回っている時に
こすった方が、ホコリも排出されます。

歯ブラシを強く押し込んだりすると羽根に当たり折れる事があるので、注意
して清掃しましょう。

※注意
ファンの排気口に掃除機を当てて吸ったり、エアダスターや圧縮エアを吹き
つけてはいけません!

冷却ファンは主にPC等でも使われているブラシレスファンが使われています
が、ファンは外から回されると発電機となってしまい、内部回路を損傷する
可能性があります。

※全てのブラシレスDCファンがそうであるとは限りませんが、個人的な実験
では軽く指で羽根を回しただけでも1Vくらい出すファンもありました。



電子楽器では、取り敢えずこれくらいでしょうか。分解清掃は過去記事にあり
ますが、今回はそういった作業が出来ない方向けに外装の清掃方法をまとめて
みました。


皆さんも、綺麗な楽器で良いDTMライフを。



posted by ゆう at 2018年03月17日| Comment(0) | 楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月15日

自動演奏の軌跡

一年半ほど前に、Marble Machine(マーブルマシン)という動画が公開されて話題に
なりました。色々なサイトで紹介されたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

Wintergatan - Marble Machine (music instrument using 2000 marbles)


このマーブルマシン、説明の通り2,000個の鉄球(ボールベアリング用のボールらしい)を
使ってヴィブラフォン、ドラム、ベースなどを演奏する装置です。説明するよりも動画を観て
戴いた方が早いとは思いますが、このデジタル全盛の時代に手回しの人力で演奏する様子
は、何だか懐かしい気持ちにさせてくれます。


演奏しているのはスウェーデンのバンド Wintergatan (ウインターガタン) に参加して
いるマーティン・モリンさん。
自分もこの動画を観てマーブルマシンに魅了され、以降チャンネル登録して動画を拝見
しているのですが、最近は次期マーブルマシンとなるマーブルマシン・Xの製作とは別に、
世界のこういった人力、あるいは電動機(モータ)を使った自動演奏をする楽器を取材して
います。中には100年以上前に作られたものなどもあるようですね。

そのメカメカしい構造と、部屋に置くのが到底無理なくらいの大規模な筐体もあります
が、とても繊細で優雅、温かく心安らぐ音が聞こえて来る辺りに、楽器がいかに手間を
かけて作られているかを垣間見る事が出来るでしょう。


何台もの自動演奏装置を取材されていますが、今回その演奏シーンだけを抜き出して
個別の動画としてアップロードして下さったので、いくつか紹介したいと思います。


Phonolizt Violina - "Pasadena"



Pylophon Disc Changing Music Box - "Washington post"



Philipps Pianella Paganini - "Slavonic dance nr 6"



どれも見入ってしまいますね~。ちなみに全部で21の動画がアップロードされている
ので、興味のある方は以下のWintergatanチャンネルからぜひ視聴してみてください。
超オススメです👍

YouTube - Wintergatan Channel



posted by ゆう at 2017年12月15日| Comment(0) | 楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月01日

音源あれこれ。

最近は録音された音声ファイルの事を音源と呼んだりする風潮もあるらしいのですが、
DTMerにとって音源と言ったら、音源モジュールだったりソフト音源を指しますね。
音源とは文字通り「音の源」、音を作り出すものですが、時代の流れにそって今まで
様々な音源が存在していました。

音を出すものと言えばピアノやギター、トランペットやストリングスなどの生楽器も相当
する訳ですが、これらの事を音源とは呼びません。弦や空気の振動など音を出す
点から言えば音源である事に相違ないのですが、通常「音源」という言葉は電子楽器
に搭載された発音回路を指す場合がほとんどです。

今回はちょっと長いですが、その辺のお話を。



■アナログ音源

アナログシンセサイザに搭載されている音源は、いわゆる「発振回路」です。ICや
トランジスタなどを組み合わせて電気信号の周期的な揺れを作り出しているもので、
主に正弦波・三角波・ノコギリ波・矩形波などを発生する回路が搭載されています。

WaveForm.png
シンセサイザで使われる主な波形

アナログシンセでは良く VCO VCA という言葉が聞かれます。これはそれぞれ、
Voltage Controlled Oscillator
Voltage Controlled Amplifier
の略で、電圧制御発振器、電圧制御増幅器を意味します。

WaveShinpuku.png
波形の振幅と音の関係

アナログシンセはこれらを電圧で制御していて、発振回路に与える電圧を上げると
周波数が変わる=音程が変わる、出力する電圧を変える=音量が変わる という
仕組みになっています。
ここに、特定の周波数をカットするフィルタ回路を入れる事で、音に変化を付ける
事が出来ます。作用する周波数によって、
LPF(Low Pass Filter):低い周波数を通す
HPF(High Pass Filter):高い周波数を通す
BPF(Band Pass Filter):特定の周波数間のみ通す
となります。
また、特定の周波数付近をガツンと持ち上げる事で、更に音に変化を付ける事も出来
ます。この2つが、かの有名な(?) Cutoff Frequency(カットオフ周波数)と
Resonance(レゾナンス)です。

音程を電圧で制御できるという事は、外部からも発音させる事が出来るんじゃないか?
と思われますが、その通りです。
MIDI規格が誕生するずっと前から、鍵盤と音源を分離させて制御するという方法は
確立されていました。それが CV/GATE と呼ばれる方式です。

- CV/GATE - とは?

音を鳴らす・止める(GATE)という動作は割と簡単です。スイッチのON/OFFと全く
同じで鍵盤をスイッチとしてONになったら音を出し、OFFになったら音を止める、
それだけの事です。制御の方法によってVトリガとSトリガの2種類があります。

しかし音程の制御となると、そうはいきません。1本をコモン(共通)としても49鍵盤
なら50本、61鍵盤なら62本の配線が必要になります。しかし鍵盤と音源をそれだけ
の配線で繋いでいたのでは分離するメリットがありません。
そこで、音程を電圧で制御するという方法が作り出されたのです。良く使われる方式
は「1オクターブ/1V」方式で、鍵盤ごとに異なる電圧が出力され、1oct.で1V変化
するという仕様になっています。これならば、配線は1本で済みますね。
※(周波数/1Vで制御する機種もあります)

このようにCV/GATEで他の音源やシンセを制御出来るのですが、1本の配線に
複数の電圧を乗せる事は出来ない為、CV/GATEでは和音を鳴らせません。



アナログシンセの発音回路の多くは発振ICを中心に抵抗やコンデンサなど多くの
部品で構成されたディスクリートとなっていて、基本的にひとつの回路で1音しか
発音出来ません。
その為、2音以上鳴るポリフォニックのシンセは、内部を開けると同じ構成の回路が
発音数ぶんズラッと並んでいる光景が見られます。

OberheimOB-8.jpg
Oberheim OB-8 の内部(1,920x1,090 936KB)

上の写真はオーバーハイム OB-8(8音ポリフォニック)ですが、本体の右側にある
基板が発音回路です。白枠で囲われた部分が1音分の回路で、1枚の基板に4回路、
それが2段重ねになっていて8音分になります。
左側の基板は電源、制御を担っていて、ディスプレイ表示やボタン操作、鍵盤からの
演奏情報から発音回路を制御するようになっています。


やがてデジタル回路が使われるようになると、デジタルで発振させる回路を搭載した
モデルが出て来ます。これらは DCO DCF DCA という言葉が聞かれますが、これ
はそれぞれ、
Digital Controlled Oscillator
Digital Controlled Filter
Digital Controlled Amplifier
の略で、デジタル制御発振器、デジタル制御フィルタ、デジタル制御増幅器を意味
します。

デジタルで制御された回路は温度などの影響を受けにくく、アナログシンセでは
付き物だった「チューニングが狂う」などの症状が起こりにくくなりました。
発振回路がデジタル化され複雑な波形が使えるようになって、音作りの幅が広がり
パラメータも数値化され見やすくなりましたが、アナログシンセと比べるとやはり
音が薄っぺらくなりがちで、ビンテージシンセは今でもアナログが好まれます。

尚、発振回路はアナログでも制御部分がデジタルだったり、フィルタ回路だけは
アナログだったり、とハイブリッドな機種も存在します。



■デジタル音源

デジタル音源はメーカーや機種ごとに独自の回路が積まれているなど多岐にわたり
なかなか統一は難しい所ですが、上記DCOを搭載したシンセ以外を大まかに分けると…

●PSG・FMなどの発振回路を用いたもの
●PCMなどのサンプリング音源(ソフト音源を含む)
●物理モデリング


等が挙げられます。これらは発音に関わる全てのプロセスをデジタル信号のまま
扱っており、発音回路からの出力は基本的にデジタル信号なので、出力端子との
間にDAC (Digital to Analog Converter)が必要になります。
最近の機種は高音質なものが使われていますが、デジタルシンセの初期の頃は
あまりDACの質は良くありませんでした。
ちなみにDX7はROHM社製 12Bit DAC BA9221 で16BitになったDX7IIと比較
するとやや荒っぽい出音ですが、この荒さもまたDX7の味のひとつですね。


●PSG・FMなどの発振回路を用いたもの
いわゆるデジタル発振回路を用いたもので、単に電子音のようなピー、プーといった
音を鳴らすだけの回路から、FMのようにフィードバックや変調をかけて複雑な倍音を
豊富に含む音を作れるものまで様々です。
PSGはゲーム音源として、FMはゲーム音源以外にDXシリーズなどのシンセに搭載
されている音源として有名ですね。

アナログ音源と大きく違うのは、その回路の構成です。
アナログ回路は前述のOB-8のように大きな基板にたくさんの部品が並んでいました
が、デジタルではそれらのプロセスを小さなIC1個で実現出来てしまいます。なので
デジタル回路は小規模で軽く、アナログよりも複雑な変調をかけられ、消費電力も
小さく出来ました(参考までに FM音源チップ YM2413 は幅23mm、奥行き6mm、
高さ4mmほどしかありません)。

YM2413.jpg
YAMAHA FM音源チップ YM2413

これらは鍵盤楽器のみに留まらずゲーム機やパソコンの内蔵音源としても搭載されて
いたので、楽器に無縁でも80年代後半の楽曲やゲームのBGMなどどこかしらで耳に
する機会があり、多くの人がその音に魅了されました。


●PCMなどのサンプリング音源(ソフト音源を含む)
現在の楽器の主流といって良いのが、このPCM音源です。

実際の楽器の音を取り込んでデジタル信号に変換し、それをROM(Read Only
Memory)に書き込んだものを差します。PC上で稼動するソフト音源でも、波形を
取り込んでそれを再生する事で音源としているものはPCMと呼べます。

PCMはその性質上、波形の質がそのまま音色のクオリティに直結します。なので
高品質で取り込めば、どんな楽器でもかなり生音に近く出来るのですが、高品質=
情報量が多い という事になるので、たくさんのメモリ容量を必要とします。
そこで、短い波形として取り込んでおいて再生時に一部をループさせたり、
EG(Envelope Generator)を通す事でアタックやリリースを付加するといった
工夫がされています。

また、この話はこれまでにも何度か書いていますが、PCMはサンプリングの元に
なった音程から離れれば離れるほど、聞こえる音も原音からかけ離れた音に変化
してしまいます。
その為、音域ごと・強弱ごとに波形を用意するなどして、どの音域でも違和感なく
演奏出来るようになっています。
もっとも、最近はGB単位の波形を持っている音源がソフト・ハード共に増えている
ので、今さら音色のクオリティを気にするほどの事はありませんね。


●物理モデリング
最近良く聞かれるようになった音源が物理モデリング音源です。ハードウェア・
ソフトウェア音源どちらでも製品が発売されています。

この音源は発振回路や波形という概念を持っておらず、発音回路を模した演算式
のみで成り立っている、いわゆる「エミュレータ」です。
アナログシンセの物理モデリングであれば発音回路や、それに続くフィルタ・EGの
動作をプログラムによって仮想空間に構築し、発音しています。
生楽器の物理モデリングであれば、その楽器の物理特性を作り出し、リードを震わせ
る、空気が振動する、管の長さが変化する、息の強さや弦をはじく強さを変える、と
いった物理現象をプログラム上で作り出しています。

この音源の強みはかなり実在の楽器に近い音が出る、リアルタイムな音色変化に
富んでいる、現実にはあり得ない楽器を生み出せる、という点でしょうか。
PCMは音程・ベロシティが固定されていると常に同じ音しか出ませんが、物理
モデリングは弾くごとに微妙に鳴り方を変える事で、特に生楽器であればまるで人が
弾いているような「揺れ」を表現する事が出来ます。

世界初の物理モデリング音源を搭載したシンセは、ヤマハ VL1 です。と言っても
VL1とラックマウント音源VL1-mは2音しか鳴らず、VL7/VL70-mに至っては1音
のモノ、最上位機種のVP1は16音ポリながら270万円と高価だった為、あまり普及
しませんでしたけどね…。

yamaha_vl1.jpg
世界初の物理モデリング音源を搭載した YAMAHA VL1


氏家さんによるVL1デモ



とまぁ、アナログから最近多く出回っている物理モデリングまでざっと紹介しました
が、どの音源でどんな曲を演奏するかは人それぞれなので、どれが良くてどれがダメ
という事はありません。
やりたいジャンル、欲しい音によって、複数を使い分けるのが最適でしょう。

ちなみに自分の好みの音源は
●アコースティック音色は本物に極力近い
●微妙な奏法の違い(アーティキュレーション)を表現出来る
●最大同時発音数が多ければ多いほど偉い(笑)
ですかね~。そしてソフトよりハード派です。新しいシンセや音源が発売されると、
やっぱりまずは音色数と最大同時発音数をチェックしてしまいますね。

音を鳴らすのにPCが不要で、何より実体のないソフト音源に比べて佇まいを眺める
だけでもニヤニヤ出来て、更にすりすりペロペロ出来るという「所有している喜び」が
ありますね(笑)。



posted by ゆう at 2017年06月01日| Comment(0) | 楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月01日

CASIO MT-750

昔から、ポータブル・キーボードの市場はヤマハとカシオがしのぎを削って
来ました。カシオのカシオトーンは比較的安価な物が多く、機能も価格相応
だったのに対して、ヤマハは安価なポータサウンドと高価なポータトーンに
分かれていて、高級機種は簡単なシーケンサやFDD、DSPを搭載し20万円を
超えるモデルもありました。

自分が楽器に興味を持ち始めたのは楽器店にRoland D-50やYAMAHA V50
などが並んでいる頃だったのですが、所詮はガキんちょなのでそんな高級な
シンセが買える程の経済力もなく、日曜に友人と自転車で楽器店に行っては
店頭デモ機の内蔵デモ演奏を聴いて、カタログを貰って来ては指をくわえて
眺める位しか出来なかったです。使い方もさっぱり分かりませんでしたし。
なので、使い方も簡単でスピーカ内蔵のポータブル・キーボードというのは
魅力的な存在でもありました。



カシオは初期のモデルこそデジタル音源回路を使っていましたが、割と早い
段階でPCMが主流になります。対するヤマハは、低価格なものはFM音源、
高級機種はFM+PCMのリズム音源(FM+AWMのDASS音源もありましたが)。
その為、当時のキーボードの音は今と比べてお世辞にも高品位とは言い難く、
「似ている」程度のレベルでしかありませんでした(まぁこの辺はシンセでも
同じでしたけどね)。
どのキーボードもピアノという音色を持ってはいるものの、その音はまるで
ジャズギター。

そんな中、カシオがCD(Casio Dynamic)音源と称したPCM音源を搭載した
モデルを発売。カタログ中央に大きく「あ、ピアノの音だ。」と自信満々に
書かれていましたが、この頃辺りから急激にポータブル・キーボードの音が
良くなったように思います。
「え、ピアノの音?これが?」というような嘘っぽい音から、誰が聴いても
「ピアノ!」と答えるであろうリアルな音色を搭載するようになりました。

同時期にヤマハもFM音源からAWM(Advanced Wave Memory)音源という
PCM音源に切り替えて来ました。以降、両社とも発売されるキーボードは
ほぼ全てPCMです。この辺りが、ちょうど高品位音源への過渡期ですね。
ちなみに、PCMリズム音源では圧倒的にヤマハに軍配が上がります。この
辺りは、さすが生楽器を作っている強みですかね。



で、このCD音源を搭載したカシオトーンの音を聴いて一瞬で惚れてしまい、
初めて自力で買ったのが、CASIO MT-750だったのです。

mt750_01.jpg
CASIO TONE BANK KEYBOARD MT-750

簡単にスペックを紹介すると…。

カシオ トーンバンク・キーボード MT-750 1989年11月発売 ¥46,000(税抜)
ミニ61鍵盤(ベロシティなし)
ピッチベンドホイール(±2半音固定)
220音色・110リズム内蔵(スーパーCD(Casio Dynamic)音源)
トーン・エディタ(デチューン・ディレイ・アタック/ディケイ・リリース)
エフェクト:ステレオディレイ、ステレオパン(音色に組み込み)
最大同時発音数:12音 4chマルチ・ティンバー(MIDI モード時)
機能:トーンバンク・マルチアカンパニメントシステム(MAS)
電源:単1乾電池x6 またはACアダプタ(9V)
スピーカ:10cm×2(1.1W+1.1W)
入出力:ヘッドホン、ライン出力、MIDI IN/OUT/THRU
チューニング:-30cent~+30cent (A4=442Hz)
サイズ・重量:幅902x奥行281x高さ89(mm) 4kg

という内容です。これ以外にもCD音源モデルでMT-540/MT-640を持って
いましたが、61鍵でピッチベンド付きというのが、大きな魅力でしたね。
それまでカシオのキーボードでピッチベンドが付いているのは、高級機種の
HTシリーズか、シンセサイザのCZシリーズしかありませんでしたから。


220音色と多彩な音色を積んでいる反面、ひとつの音色に割けるROM容量が
MT-540/640より少ないのか、若干(かなり?)音色の品位は低下したように
感じます。ピアノ等も艶のある綺麗な音から、ノイズまみれの籠もった音に
なってしまいました。

■トーンバンク機能について
このCD/スーパーCD音源搭載機種から「トーンバンク」という機能が付いた
のですが、これについてちょこっと解説を。

CD音源搭載のMT/CTシリーズは、内蔵音色が20音色でした。この頃のトーン
バンク機能は「内蔵音色を2つ重ねて演奏出来る」という機能です。この機能
のお陰で210音色を使い分ける事が可能でしたが、MIDIモードではこの機能が
使えないという欠点がありました。
対してMT-750などのスーパーCD音源はこの「2音色を重ねる」という機能が
廃止され、メインとなる20の音色の下にバンク音色と称するバリエーション
違いの音色が10個配置されています(リズムも同様にメインとなる10リズムの
下に、それぞれ10個のバリエーションがぶら下がっているBEAT BANK)。

波形容量が一気に増えた為、前述の通り個々の音色の品位は低下しましたが、
MIDIモード時はトーンバンク機能が使えない為、CD音源では20音色しか選べ
なかったのに対し、スーパーCD音源は220音色をフルにMIDIで使えるという
強みがあります。
音色の選択はちょっと変則的でPC#0(00H)~109(6DH)までが使えるように
なっており、これで110音色分の選択を行います(0~9までの10メイン音色と、
その下の100個のバリエーション音色)。

残り(10~19までのメイン音色と、その下の100個のバリエーション音色)を
使いたい時は、SysExによって切り替えます。

■CASIO MT-750 TONE BANK Select System Exclusive Message
F0 44 03 00 7n 51 dd F7


n=MIDI ch : 0(00H)~3(03H)
dd=SELECT : 20H(Bank Up:00-09) / 21H(Bank Down:10-19)

MT750SelectButton.png

ddの値が20Hの時:SELECTランプは上が点灯して00-09の音色が使える状態
ddの値が21Hの時:SELECTランプは下が点灯して10-19の音色が使える状態
になります。ただまぁ不安定というか上手く切り替わらない事が多く、逆の
動きになってしまう事があって、演奏前に一旦手動で上のランプが点灯した
状態にしてやらないと、全然違う音色で演奏されたりしますね…。



とまぁMIDIの機能は本当にオマケ程度でしかないので、ベロシティに無反応
です。CC#もペダル(CC#:64 Damper)しか対応していません。マルチ受信
モードでも1~4chまでしか受信出来ず、今の音源のようにノートONに対し
発音回路を流動的に割り振って行くという仕様ではないので、chごとに発音
出来る音数が固定されていました。
Ch 1:6 voices
Ch 2:4 voices
Ch 3:2 voices
Ch 4:4 voices
トータル16音なのに、楽器全体の最大同時発音数は12音という不思議な仕様。
1~3chで発音数を12音フルに使うと、4chの音が途切れます(笑)。この辺は
どのような割り振りになっているのかとカシオに突っ込んで質問しましたが、
結局明確な回答は得られず

MT-750の最大同時発音数は12音です(キリッ」

で押し切られてしまいました。

CPUはNEC uPD937GD-002 4MHz駆動です。CPU横の水晶発振器をもっと
周波数の高い物に交換すると高速動作しますが、MIDI信号の受信タイミング
もこのクロックに頼っているため、4MHzを外れると同期も外れてしまい、
受信出来なくなります。
ROMは NEC uPD23C4000AC D65 と 同D66 2つの 4Mbit Mask ROM が
載っているので、恐らく波形容量は8Mbit = 1MB。

カシオ初のGM音源として、 GZ-50M という機種がありました。この音源は
CPUがH8/329 20MHz駆動なので動作は機敏なのですが、搭載音色の殆どが
当時のMT-750を始めとしたカシオトーンからの音色でした。特にドラム
などはほぼ同じだったので、GM音源としてはちょっと音に迫力がありません
でしたね。こちらの波形ROMは TC5316200CF-C117 16Mbit (=2MB)です。

CASIO_GZ-50M.jpg
CASIO GZ-50M (1995年発売)



昔はシーケンサQX5FDとリズムマシンRX8・EMR-1、エフェクタEME-1等と
接続して打ち込みをやってました。

購入してから壊れる事もなく今現在も動きますが、この頃のカシオトーンの
ミニ鍵盤はプラスチックの一部を薄くする事でバネにしているので、横方向
に力がかかると簡単に破断して、鍵盤が折れてしまいます(特に黒鍵)。
MT-750も何本か黒鍵が折れた為、筐体の鍵盤・スピーカ部分をノコギリで
切り落とし、単なる音源モジュールと化しています。
ベロシティもボリュームも効かないし、ピッチベンドも±2半音固定と制限が
多い音源ではありますが、今でも鳴らすと楽しく、思い出深い1台ですね。
ベースやリード系は意外と太い音が鳴るのも特徴のひとつ。

今でも当時のキーボードをオークション等で見かけると、ついつい買いたく
なってしまいますね。
ちなみに現在MT-750とヤマハPSR-500が手元に残っています。PSR-500は
MIDIも16chまでマルチ受信でき最大同時発音数28音、100音色103リズム、
DSPも付いていて受信可能CC#も1・7・10・64・91と細かく制御出来るの
ですが、いかんせんCPUの能力が低いので、SC-88Proを鳴らすような感覚で
演奏させるとコケコケで厳しいですね。

CASIO MT-750 TONE BANK KEYBOARD Demo Song


Cosmic Surfin / Y.M.O. on CASIO MT-750 TONE BANK Keyboard (Copy)


Casiotone MT-240 Demo Song "Night Birds" on CASIO MT-750





posted by ゆう at 2017年04月01日| Comment(3) | 楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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