今日から6月ですね~。だいぶ暑くなって来ましたが、DTMerの皆さまに
おかれましては全裸DTMが捗っておられる事とお慶び申し上げます。
先日壊してしまった自作ベンチ電源の修理を、今回もやって行きますか~。
前回はIC TL494CN を交換したりMOSFETを調査したものの、残念ながら
直らず。

なので、今回はICとMOSFETの間にあるゲート駆動回路を調べてみますか。
トランジスタ Y1・Y2と、T5と刻印されたダイオードで構成されています。
Y1 と書かれたトランジスタを調べると、どうやら SS8050 というNPNの
トランジスタらしい。最大1.5Aまで流せるようです。
IC TL494CN の動作モードがプッシュプルで、その先にY1・Y2という似た
ような名前のトランジスタ…あ、これピンと来ちゃいましたよ。
Y1がNPN SS8050 なら、Y2はコンプリメンタリのPNP SS8550でしょう。
と当たりを付けつつマーキング Y2 を調べてみると…?

合ってました。これでトランジスタの素性は分かりました。それにしても、
このデータシート SS8550側の Complementary to が SS8550 と誤植
してますね。ここは SS8050 でしょ。
C-Eにダイオードが並列に入っていたり、他と繋がっている為このままでは
正確に調べられないので、トランジスタを全てひっぺがして各々LCR-T4で
調べると、Q6 に付いていた Y1 だけ正しくトランジスタと判断されません。
DMMで測るとE-C、C-E どちらの方向にも50Ωくらいを示します。

これ壊れてますね。
普通のTO-92パッケージで S8050 / S8550 が手持ちにあったので、これで
代用しようと思ったんですが、S と SS ではコレクタ電流 (Ic) が倍くらい
違うんですね…(SS8050 / SS8550 =1.5A、S8050 / S8550=700mA)。
これは使えません。仕方ないので新品を注文します。
トランジスタが無くなった事でダイオードも正確に測れるようになったので
D3~D8の6個を調べたところ、壊れたQ6に繋がっている D7 もダメっぽい。

つまりこの2つがお亡くなりになっているせいで、正常に動作しない模様。
ダイオードは6個すべて T5 の刻印がありますね。

T5 はファスト・スイッチング・ダイオード 1N4448W らしいです。
追記
1N4448W ですとパッケージはSOD-123のようですが、付いていた
実物のサイズを測ると 1.7x1.3(mm) なので、SOD-323みたいです。
そうなると、1N4448WS かも知れません。規格自体はどちらも同じ
ですけどね。多分↓これ。

ピーク繰り返し逆電圧V
RRM:100V
非繰り返しせん頭サージ逆電圧V
RSM:75V
逆回復時間trr:4ns
この特性を見ると逆回復時間:trrが高速、かつ逆バイアス耐電圧が高い物で
ないとダメなようですが、データシートで比較する限りでは多分小信号用の
1N4148辺りでも代用できると思います。
適当なジャンク基板を漁ったら、SOD-123パッケージでマーキング A3 の
SMDダイオードを発見。

これどうやら同じ 1N4448W らしい。その下に同じマーキング SOD-123
パッケージでツェナーもあるみたいだけど…ジャンク基板でもスイッチング
回路のトランス周辺に入っていたので、1N4448W と考えて良さそう。
試しにこのA3使ってみるかな。
SMDってこれが面倒なんですよね~。同じマーキング、同じパッケージで
全く違う部品が存在する。しかも見た目でどちらか良く分からない。
もうちょっと分かりやすくならないもんだろうか…。

SMDトランジスタ Y1・Y2が届きました。ャフォクに売っていて良かった~。
1円玉は大きさ比較用、パッケージはSOT-23です。
このトランジスタは汎用品の為あちこちで売っていますが、100個入りや
1個だけ販売が多いんですよね。両極端すぎる。100個もいらんけど1個は
心許ない。たまたま5個で売っている方がいて助かりました。
壊れていたのはY1 1個だけだったけど、一応Y1・Y2それぞれ5個ずつ購入。

基板からひっぺがしたA3と併せて、この3個を交換します。ダイオードで
壊れていたのはD7 1個だけですが、特性を合わせる為にD6も併せて交換。

どれがダメでどれが良いのか分からなくなりそうなので、ざっとメモに書き
残し紛失しないように外したパーツを貼り付け。

作業に邪魔なゲート駆動用のトランスと、ド真ん中にそびえ立つ電解コンは
一時的に取り外しておきます。
この電解コンは何だろ…ブートストラップかな。
ちなみにIC周りの電解コンは全て中華コンから日ケミ、ELNA等に交換済み。

壊れたパーツの交換が済んだので、トランスと電解コンも元に戻しました。
IC TL494CN も新品を買ったけど結局壊れていなかったので、元々付いて
いた物をそのまま再利用。
A3 のダイオードは元のT5より幅が広くなる為、少しパターンのレジストを
削って付けてあります。
さて、通電してみますかね~。ちょっと怖い。またパーツが燃えたり、破裂
したりしたら嫌だな…。
電源、パイルダーオォン!!
とりあえず発煙や破裂はなかったみたいです。電圧が正常に出るようになり
ました。しっかり0Vから最大の50Vまで可変できます。
一度分解してしまった可変抵抗もちゃんと直ったようで、電圧が飛び跳ねる
以前のような症状は出ていません。左に回し切ると0Vになります。
壊れたのがゲート駆動回路のSMD部品だけで良かったです。トランス内部の
ショートや断線は手に負えないし、MOSFETが逝っていたら交換に結構な額
かかっただろうし。
かかった部品代はIC TL494CN 1個とトランジスタ10個で¥1,000程ですが、
ICは壊れていなかったし、ダイオードはジャンク基板からひっぺがした物、
トランジスタは1個しか使わなかったので、修理費用は実質
¥20位ですかね。
故障の原因はやはり前回記事に書いた通り、実際の回路とICの制御方式に
齟齬が生じたせいでしょう。

整流用ダイオードとMOSFETに放熱用グリスを塗り、前面パネルも新しく
作り直し、元通りに組み立て。
電動ドリルを繋いでギュンギュン回しても、手で回転を止めてストールさせ定格
10A最大まで流しても、問題なく動作しています。余った部品はまた壊れた
時の為の予備に保管しておきます。
これでようやくベンチ電源が直りました。
これからもまた実験や工作に活躍してくれる事でしょう。
しかし最後の最後まで、焼ける臭いを発した部品の特定は出来なかったなぁ。
まぁトランジスタかダイオードどちらかが焼けたのだろうと思う事にします。
★おまけ今回の作業から、ハンダをHOZAN製に切り替えました。とっても良い感じ
です。これは買って良かった。

手持ちのハンダでテストしてみました。一番上の低品質ハンダは論外として、
それ以外は概ね良好です。

HOZANのハンダは500g巻で買ったので、goot SE-06010 を使い切った後
そのリールにHOZANハンダを100g分くらい巻きました。
綺麗に巻いたのは最初の2重くらいで、それ以降は面倒くさくなってご覧の
ありさま。
まぁどうせこの先は解くしかないんだから、これでいいよね(笑)。