2月半ばになり少し暖かくなりましたが、DTMerの皆さまにおかれましては
アレをアレしている事とお慶び申し上げます。
これまで何度か電圧可変回路を作って来ましたが、どれも満足行く出来には
ならなかった為、いっそ既製品を使おうと良く見かける昇降圧モジュールを
購入してみました。

こういうやつです。右下に
HW-140 V3.2.0 と書かれていますが、詳しい
型番やメーカ等は不明、お値段¥1,000程。これとほぼ同等のモジュールで
Zk-SJVA-4X、
XY-SJVA-4X という個体もある模様。
まぁ蟻さんあたりでも大量に売られている激安の昇降圧モジュールですね。
全体をざっと見てみますか。

MOSFETが2つ、整流用ショットキ―(SBD)等が見えます。

MOSFET 左:
AOD4184A 40V 50A
MOSFET 右:
NCE6075K 60V 75A
どちらも S はOUTのGNDに繋がっているようです。
これ、サイト上で見た時はそこそこ大きいような気がしていましたが、実測
すると66x48x25(mm)と結構小さいです。
ディスプレイのサイズは33x17(mm)。4つ角に付ける足と、50x12(mm)の
ヒートシンクが付属。
入力の電解コンは470uF 35V、出力の電解コンは220uF 35V / 470uF 35V。
こういう端子台って好きじゃないんだよな…。段々と右に傾いて行くんです
よね、これ。固定で使うなら両脇の穴に配線をハンダ付けですね。

基板裏。メインと思しきチップは例によって型番が刻印されていません。
一応スペックとしては…。
入力電圧:5.5~30V
出力電圧:0.5~30V
最大電流:最大3A(しっかり冷却すれば4A)となっています。フルパワーで動かすには8V以上印加する必要がある模様。
でも自分の実験等では、12V以上を使う事ってほぼ無いですけど。
操作ボタンは IN/OUT と ON/OFF の2つがあり、
IN/OUT 短押し:入力電圧⇔出力電圧の表示切替
IN/OUT 長押し:A(電流)⇔W(電力)の表示切替
ON/OFF短押し:出力のON/OFF
ON/OFF長押し:電源投入時に出力する/しないの切替
です。電圧・電流は多回転の可変抵抗で変更するタイプなので、ボタンには
簡単な機能しかありませんね。
では早速通電。電源電圧は9.5Vで固定しています。

入力電圧表示。多少の誤差があるようですが概ね合ってます。

可変抵抗を回して最小電圧。確かに0.5Vまで下がりました。出力をONする
と基板上の緑LEDが点灯します。

今度は最大電圧。31.5Vくらいまで出るようですね。これも問題なし。

入力電圧9.5V、出力電圧12.0Vにセット。
ちなみにご覧の通り、電圧・電流は多回転ポテンショメータで可変するので、
精密ドライバなどが必要です。また、クルクル回しているとドライバの先が
滑って基板やディスプレイをド突くので、もっと簡便に使いたいのであれば
パネル取付け型の大きなやつに交換するか、基板取付タイプでも指で回せる
ローレット加工のツマミが付いた物にした方が良いでしょう。
電圧側503(50kΩ)、電流側102(1kΩ)です。

10Ωの抵抗を繋いで0.9Aほど流した時の電流表示は10mAほど低いです。
電圧も電流も、低い方に若干の誤差がありますね。

ON/OFFボタンを押して出力をONした時の過渡特性。100msの間に2.2V位
オーバーシュートがあるようです。設定電圧に関係なく必ず発生する模様。
大抵の回路では入り口の電解コンなどで吸収されるんでしょうが、過電圧に
敏感なCMOS回路を動かす時は注意が必要かな。

電流を0.5Aまで絞りました。すると緑LEDの横の赤色LEDが点灯。この時は
定電流モードになっています(CC=Constant Current)。

抵抗両端の波形を見てみると…。う~ん、
これはなかなか酷い…。V
P-P 4Vの
範囲で電圧が波打っています(ACモードで計測中)。制御はだいぶアナログ。
結構制御は雑ですね。定電流モードでなければ平坦で綺麗な波形が出ている
のですが、定電流になった途端にこれ。あまり品質は良くないな。
激安品ですからね~。多くを求めてはいけない。

もうひとつ気になったのは液晶の足の長さ。まぁこんなの切れば済む話では
ありますが。足が長いせいで届いた時に曲がっていて、1本が隣とショート
していました。ここは通電前に確認した方が良いかも知れない。
という訳でざっと見てみましたが、やはり価格なりの作りですかね。過去に
YouTubeで紹介している方がいますが、13分あたりからの過負荷テストで
煙を吹いてあっさりMOSFETがお亡くなりになっています。
販売元の商品説明では保護回路が入っている的な文言がありますが、これは
ヒューズかポリスイッチなどを入れて使った方が良いかも知れませんね~。
MOSFETに付けるヒートシンクは両面で貼り付けるだけの簡易的な物なので、
急激な電流増には耐えられません。より大容量のMOSFETに交換するか、熱
伝導性の高い接着剤などで強固に貼り付け、かつ空冷するなどの措置も必要。
これの用途としてはせいぜい定電流モードでバッテリを充電するとか、それ
くらいでしょう。作った回路の動作試験をする場合は、電流側の可変抵抗を
最大まで回して定電流に引っかからないようにすれば、安定した出力を得る
事は出来ますが。
定電流モードを使わないのであれば、良い物だと思います。いずれこいつに
DELLの20V 3.5Aアダプタを組み合わせてベンチ電源にしたいですね~。
ただこいつ、ディスプレイやボタンの高さよりもコンデンサやインダクタの
背がだいぶ高いので、どうやってケースに入れるかが問題ですね。
3Dプリンタ等で自作している人は、ボタンやツマミなどを延長しているよう
ですが、そうでない場合はL字型のケースでないと上手く収まらない。
後日
ディスプレイの高さを嵩上げしようとしたけど失敗しました…。
※2026/02/23 追記
このモジュールの下部にある5つの接続端子が気になったので、調べてみる
事に。左から
G D C O V と並んでいます。
パッと見では、メーカがファームウェアを書き込む時に使うのではないか?
と思っていましたが、どうやら違うみたい。

ディスプレイを外してパターンを辿ると…。
G:OUT側のGNDに接続。
D:刻印なしチップの9ピンに接続。
C:刻印なしチップの3ピン、基板端のMOSFET (A2SHB) のGに接続。
O:刻印なしチップの2ピン、基板端のMOSFET (A2SHB) のGに接続。
V:レギュレータ HT7550 の V
OUT に接続、+5V出力。
MOSFET A2SHB = 20V 3.7A N-ch MOSFET HNM2302ALB
C と D からはV
P-P 5V 13Hzくらいの矩形波が常に出ています。C と G を
ショートさせると、無負荷の状態でもディスプレイの A 表示が 4.364A に
なります。D と G はショートさせても何も起こりませんでした。
出力をON/OFFしてみたり、電流を絞って出力をショートさせCC状態にして
みたり、電圧や電流を最小⇔最大まで可変させてみたりと色々試しましたが、
D、C、Oについては繋がっている刻印のないチップが正体不明の為、結局
MOSFET 駆動以外に何をしている端子なのか分からず。
ネット上で一応HW-140のデータシートらしきPDFが閲覧できるのですが、
仕様と各部の名称程度しかなく、載っている基板写真にはこの5つの孔が
ないので、詳しい事は不明。回路図すらないのにデータシートとは…?