2024年03月28日

ピッチベンドによるフォルマント変化

そろそろ3月も終わりますが、DTMerの皆さまにおかれましては全裸花見
DTMが捗っておられる事とお慶び申し上げます。

今回は珍しくDTMに関する小ネタをちょこっと。


だいぶ前の記事になりますが、良く使われる打ち込みの技 という記事の
中で、「ピッチベンドで音色変化」という技法を紹介しました。

さらっと抜粋しますと、
方法は簡単で、パートのノート#を1オクターブ下げ、その分をベンドレンジ±12に
設定したピッチベンドで上げる(+8,191)方法です。
もちろん逆にノート#を1オクターブ上げ、ピッチベンドで下げる(-8,192)方法も
あり、どちらも元の音とは少し違った変化を得る事が出来ます。

という記事です。

今回はそれをより詳しく書いてみますか。まずは実際に音を聴いて頂くのが
分かりやすいですね。


以下の音声ファイルはPC#:81 Saw Waveで C のコードを3種録音したもの。
倍音を多く含んだ音の方が分かりやすいので、Saw Waveを使っています。

最初の C はC4,E4,G4。次の C はC3,E3,G3をピッチベンドで+8,191した
もの、最後の C は C5,E5,G5をピッチベンドで-8,192したものです。

※一応音量注意


全て同じ音域の C コードに聞こえますが、フィルタ等はいじっていません。
MSGSを使って簡単に録ったので、真ん中の+8,191したものは随分と音痴に
聞こえますが、そこはおいといて(笑)。

どうでしょう。普通にC4,E4,G4と弾いた音に比べてC3,E3,G3 を+8,191
した音は明るく煌びやかな音になり、C5,E5,G5を-8,192した音はやや籠り
丸い音に聞こえますね~。


これをWaveIlluminatorで再生して、波形を見てみましょう。
上から通常演奏、+8,191、-8,192です。

CmajPB3type.png

波形の黄色枠の中に注目してください。

一番上の通常演奏を基準として比べると、-8,192したものは高域5kHz~
10kHz辺りまでの成分が増えており、+8,191したものは同じ周波数帯で
少し減衰しています。


より細かくWaveSpectraで波形を見てみます。

音色はSaw Waveですが、以下はコードではなくC4単音での波形です。上が
普通にC4を鳴らした波形、真ん中がC3を鳴らしてピッチベンドで+8,191、
下がC5を鳴らしてピッチベンドで-8,192したものです。

NoteC4PB0.png

NoteC3PB8191.png

NoteC5PB-8192.png

これはもう一目瞭然ですね。一番上の普通に弾いた C4 に比べて+8,191
では高音成分が増えており、下の-8,192では高音成分が減り、変な谷間も
出来ています。


通常PCM音源はサンプリングした音を鳴らしているのですが、1つの波形で
全音域に使おうとすると音程が上がる(下がる)程、元の波形からかけ離れた
音になっていってしまいます。

そこで通常はマルチポイント・サンプリングという方法が使われています。
ひとつの鍵盤につき波形を1つ用意していたのでは、データ量が莫大になり
ROMに収め切れないので、1オクターブ毎やいくつかの鍵盤を1つの波形で
賄うことで、サンプルの数を減らしています。

安いキーボード等ではこのサンプリングが割と雑に行われているので、ある
鍵盤と隣の鍵盤で同じ音色なのに鳴り方が違う、なんて事も起こりますが、
これはまさにフォルマント変化が起こってしまっている為です。


ピッチベンドでオクターブ上げた時は波形を倍速で再生、オクターブ下げた
時は波形を半分の速度で再生している事になるので、C4をピッチベンドで
上げればC5に聞こえ、下げればC3に聞こえます。
ピッチベンドでの音程変化は、波形の再生速度を変化させているに過ぎず、
音に含まれている周波数全てを単純に平行移動させているだけです。


なので、C3をピッチベンドで上げると、含まれている周波数成分が全体的に
1オクターブ高い側へとシフトするので、高音成分が増えて明るい音になり、
C5をピッチベンドで下げると含まれている周波数成分が全体的に1オクターブ
低い側へシフトするので、高音成分が減り籠った音になるという訳です。


曲の中で単純にちょっと音の質感を変えたいと言った場合には、結構使える
と思います。ただ、ギターのタッピングなどを再現していて離れた音程へと
ピッチベンドで飛ばすと、このようなフォルマント変化が起きてしまうので、
音の質感が変わってしまいます。



お解かりいただけるだろうか…。
う~ん…頭では分かっていても、言葉で説明するのはなかなか難しいですね。
良い例えが見つからない。

尚、元の記事でも言及していますが、これはPCM音源に限って出来る技法で
あり、PCM以外の音源(特にアナログシンセ)では不可能ですのでご注意を。



posted by ゆう at 2024年03月28日| Comment(0) | 打ち込みテク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月09日

ピアノの打ち込み~

今回は、ピアノでぃす。


正直、あまりやりたくはないのですが。と言うのも、ピアノは奥が深すぎて、
文字で全てを書き表すなど到底できないので…。とりあえず、弦の共鳴ガー
筐体の鳴りガーペダルノイズガー屋根の開きガーという方は大人しくKorgの
KRONOSか、ソフト音源のピアノを使って下さい(笑)。

今回はピアノに限定した話なので、音色毎の紹介はしません。まぁ88Proの
ピアノは今の時代お世辞にもリアルとは言い難いので、これを使って本格的
にピアノ曲をガチで打ち込もうという奇特な方は居ないような気がします。

なので、当たり障りのない部分をさらっと。



●ベロシティに細心の注意を
どんな楽器にも言える事ですが、とにかくベロシティに気を配る事が大切。
特にピアノはダイナミック・レンジの広い楽器なので、ベロシティを幅広く
使いましょう。

88Proのピアノは初期状態でも割とフィルタが効いている方ですが、元々が
結構硬い音なので、あるベロシティまではやや籠もった音なのに、値を1
上げただけで急に硬く明るい音になってしまうという事があります。必要に
応じてカットオフ周波数を変える(特にマイナス方向)と良いでしょう。



●発音タイミングをずらす
これは以前にも触れましたが人間の指は長さがバラバラなので、5本の指で
和音をバーン!と弾いても、それぞれの個々の音は僅かに発音タイミングが
ずれています。これは右手と左手の場合も同様です。
完全に一致させるには光の速さで鍵盤を押下する必要があり、人間の腕ほど
の質量をもつ物質が光速で動けば、衝撃波で腕もピアノも木っ端微塵n(ry。

まぁそんな話はどうでもいいのですが、譜面上では同一タイミングになって
いる音符も、わずかに発音タイミングをずらす事でリアルさを出せます。
特に小さな音で鳴らす時は効果的です。



●ダンパーペダル(CC#64:Pedal)の位置
ピアノががっつり弾ける方は、ペダリングも含めてリアルタイム録音すれば
最強ですが、ステップ入力の場合はペダルの位置に気を付けましょう。

簡単な曲であれば、小節の頭で離してすぐ踏むという形にすれば良いのです
が、演奏もペダルも複雑な曲はペダルの位置によって音にすき間が出来たり、
前の音と重なって汚く濁る事があります(もちろん、あえてそういう効果を
狙う場合もありますが)。

また、88ProはCC#64:1~126までのハーフペダルに対応していません。0か
127、踏んでいるか離しているかのスイッチでしかありません。
なので、ハーフペダルが必要な所は NRPN 102:Release Time でリリースを
伸ばす事で対処しましょう。



●運指に注意する
運指とは実際にピアノで曲を演奏する時、どの音をどの指で弾くかを表した
ものです。

は?打ち込みに運指なんか関係なくね?

と思われるかも知れませんが、ピアノソロなどではこれが結構重要だったり
します。

例えば、右手で3オクターブの幅を降りて来るフレーズで考えると、小指→
親指と弾いたら下の音域へ移動してまた小指→親指、更に音域を下がって
また小(ry と、指が5本しかないので足りない音を弾くには腕を動かして下の
音域に移らなければなりません。

小指→親指と弾き、次の音に小指が着地するまでの間にはタイムラグが発生
するので、運指によって各音符の間隔を変えてやると、リアルさが出ます。
楽譜上では均等に配置されていても、運指によってモタったり突っ込んだり
する部分がある、という事です。
また、親指が鍵盤を弾いたあとは手を動かして、次の音に小指が着地すると
いう一連作業があるので、親指での演奏に相当する音のゲートタイムを短く
すると良いでしょう。



●ミスタッチを再現する
ミスタッチなんてのは本来、クラシックのピアノコンサートなどでは絶対に
あってはならない事ですが、ロック等でのピアノ伴奏となると違って来ます。
正確性よりもその場の勢いやノリ的なものを表現したい場合は、わざとミス
タッチを入れるというのも有効です。

具体的には、あるコードをバーンと弾いた時、本来押さえるべき鍵盤の隣の
鍵盤も一瞬鳴らすといった具合です。右手小指がCの音を弾いたとしたら、
一瞬だけその右隣のDも鳴らす、という感じでしょうか。左手がC2、C3を
バーンと弾くのであれば、D2やD3も軽く鳴らします。

要は、「ちょっと行き過ぎちゃった感」や「指の開きが足りずに隣も一緒に
鳴っちゃった感」を出してやる訳です。但しやり過ぎるとただのヘタクソに
しか聞こえないのでご注意を。



●ステレオ音色とモノラル音色
ピアノ音色は、Bank 0:Piano 1 と Bank 8:Piano 1w のようにモノラルの
ものと音域によって定位が変わるステレオ音色があります(w = 恐らくWide)。
ピアノソロなどは w の付いた音色を使う事で、奏者が聴いている音の定位に
なりますが、他の楽器と合わせる場合ステレオだと目立ってしまい、意外と
邪魔になる事があります。

ステレオだと目立ち過ぎるけどモノラルだと引っ込み過ぎる、という場合は
コーラスにショートディレイを設定して薄くかけてやると、コーラスの値で
前に出したり引っ込めたりが細かく出来るようになって便利です。



●小節線を無視する
DTMでデータを打ち込む場合、他パートと同期させる為に小節線を合わせる
ようにして打ち込んで行きます。4分音符あたりの分解能が480であれば、
1小節の長さは1,920になる訳です。
これがずれると、そのパートだけ他パートとの同期から外れる事になります。

しかし、ピアノだけで他の楽器と同期する必要がない場合は、小節線を一切
無視してキリの良い場所までを1小節として扱ってしまう事が出来ます。

これの良い所は前述の「●発音タイミングをずらす」で書いたように、個々の
音符のタイミングをずらした時に、小節をまたぐとタイで繋がってしまって
見づらい為です。小節線を適当に排除しつつ打ち込んで行くと、本来タイで
繋ぐ部分もひとつの音符として置けるので、入力の時に分かりやすいです。



とまぁ、自分がピアノを打ち込む際に注意している事を書き並べてみました
が、ピアノの打ち込み、特にソロになると、いくらデータを修正しても満足の
行くものは一朝一夕には作れませんね…。
あ、ちなみに慣れるには、実際のピアノと同じようにバイエルやツェルニー
などの簡単な曲から打ち込んでみると良いかも知れません。

おまけとして、最初に打ち込み始めてから有余年、未だに完成形と言える形に
仕上がらないこのデータをお聴き下さいまし。


即興曲第4番 嬰ハ短調 遺作 作品66
『幻想即興曲』(Fantasie-Impromptu)/ Frédéric François Chopin
(SC-88Pro Bank 8:Piano 1w 使用)




posted by ゆう at 2016年10月09日| Comment(2) | 打ち込みテク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月28日

エレピの打ち込み~

エレクトリック・ピアノ(エレピ)は歴史的には古く、1930年頃には既に存在
していました。当時のメカニズムはピアノ同様、鍵盤を弾くとハンマーが
トーンバーと呼ばれる鉄の棒や鉄片を叩き、その振動をピックアップ(細い
銅線を細かく巻いたコイル)で拾い、アンプに入れて増幅するのが基本的な
構造です。
代表的なのがローズ(Rhodes)やウーリッツァー(Wurlitzer)ですね。88Proの
音色では、ローズはRhodes、ウーリッツァーはWurlyとして収録されており、
GM準拠の音源ではPC#5:E.Piano 1 の音色がこれら有名なエレピの音色です。

そしてトーンバーではなく、ピアノと同じように弦をハンマーで叩き、その
音をピックアップで拾う方式を採用したのが、ヤマハのCPシリーズです。
構造的にはほぼピアノですが、ピックアップで音を拾う事でピアノとは違う、
けれど前述のローズ等とも違ったアタックが強く歯切れの良い音で一世を風靡
しました。このCP系の音色は PC#3:Piano 3 です。

やがて半導体技術が確立されると、物理的な構造を廃して電気的・電子的に音を
合成し作り出す技術が台頭して来ます。ある周波数の信号を作り出し、それに
フィルタをかけたり、出た信号をまた発振回路へ戻したりして複雑な倍音を作り
出す事で、表情豊かな音を出せるようになりました。
これが PC#6:E.Piano 2 に収録されている、通称「FMエレピ」と呼ばれるFM
音源のエレピですね。

そして現在は、データを記憶する半導体(ROM:Read Only Memory)の大容量化・
低価格化、サンプリング技術の向上で格段に高音質・高品位となり、実物の楽器
から出る音を音域別・ベロシティ別にそのままデータ化してハードウェア音源に
搭載(※)したり、ソフトウェア音源として鳴らす事が可能になった訳です。

ソフトウェア音源に至っては、各鍵盤毎に個別の波形がベロシティ別に10段階
ほど用意されているなど、本物と聞き分けが出来ないほどのクオリティを持つ
音源もあります。当然ながら、そのクオリティのぶん波形容量も半端ではなく、
少なくとも数GB、多い物では数100GBもの波形ライブラリを搭載しています。
※この手法をPCM(Pulse Code Modulation)と呼ぶのですが、実際PCM音源というのは80年頃には
既に一般市場に出回っていました。しかし、ROMが昨今のように大容量ではなかった為、あくまで
「それらしい音がする」程度のものでしかありませんでした。PCM音源で実物に近い高品位な音色
を鳴らせるようになったのは、90年後半あたりからです。88Proももちろん、PCM音源です。



実際の打ち込みについてですが、E.Piano 1/2ともベロシティに対するフィルタ
のかかりが良い為、ベロシティを幅広くメリハリを付けるのが良いでしょう。
カットオフ周波数は、+方向にはほとんど効きません。レゾナンスを上げると
やや強調されますが、音を硬くする目的では+20(84)が限界で、それ以上では
ミョンミョンしてしまいます。
もっと音を硬くしたい時は EFX 03:Enhancer をかけ、パラメータ Hi Gain の
値を上げてやると、ガツッとした音になります。
籠もらせたい時はカットオフ周波数の-方向が良く効くので、メロウな感じを
出したい時には-10~-15(54~49)ほど下げると良い感じになります。


さて、エレピと言えばこれまでにも多くの奏者によって様々なサウンドが創出
されて来た訳ですが、特に良く聴かれるものとして、トレモロやフェイザーを
かけた音があります。エレピの音が左右を往復しているのはトレモロ、シュワ
シュワした効果はフェイザーによってかけられています。

Grover Washington Jr. - Just the Two of Us

他にも名曲はあるんでしょうが、自分はこの曲がとても好きなので…(´ω`)

フェイザーについてはEFX 07:Phaser をかける訳ですが、初期値では少し浅い
ので、パラメータ Depth の値を95、Reso の値を50くらいにすると、エレピに
適した感じになるでしょう。

トレモロについては、かけ方が2通りあります。モノラルで良い場合は過去記事
各コントローラとエクスクルーシブ」で書いたように、モジュレーションのLFOで
TVAを揺らす方法と、EFX 12:Tremolo をかける方法です。この場合は中央または
そのパートで設定したPanの値の定位で、周期的に音量が上下します。
TVAを揺らす方法はサイン波での変化しか出来ませんが、EFXならば矩形波と
ノコギリ波2種が使えますね。

もうひとつは、上の動画 Just the Two of Us 出だしで聴かれるような、左右を往復
するパターンですが、Panを使って往復させる時は注意が必要です。
左右を往復させるという事は、Panの値を0⇔127で行き来させる訳ですが、細かい
音符が続くフレーズでは、発音の瞬間にその時のPanの値が即時に適用されるので
割と速く往復させても音がしっかり追従します。

ところが全音符など長く伸びる音に対してPanの値を往復させる時は、既に発音
している音を変化させなければならないので処理が重くなり、トレモロ程度の
速い変化になると音がデータの値について来られないのです。はっきり往復して
いると聞き取れる速度は1Hz(1往復/秒)くらいで、それ以上の速さになると段々
うやむやになり、コーラスをかけると尚さら定位感が薄れてしまいます。

このような時はEFXを使うと良いのですが、EFX 12:Tremolo はモノラルなので
往復させられません。そこで使うのが次の EFX 13:Auto Pan です。
Auto Pan はパートのPanの値を変えている訳ではないので、最大10Hz(10往復/秒)
まで設定出来、定位感もPanよりハッキリしています。
変化させる波形も Tremolo 同様に矩形波・サイン波・ノコギリ波2種が選べるので、
エレピのトレモロに適していますね。

フェイザーだけ?トレモロだけ?俺はどっちも同時に使いたいんじゃボケェ!

と思われる方もいらっしゃると思います。ごもっともです。そんな欲張りな方の
為に、ちゃんと EFX 54:Rhodes Multi というエフェクトが用意されています。
もう名前なんかそのまんまですね。まさにエレピならこれを使え!と言わんばかり
のEFXです。

Rhodes Multi は直列4系統20バルブDOHCツインターボ(?)のような強力なEFXで、
●エンハンサー
└Enhancer Sens/Mix
●フェイザー
└Phaser Manual/Rate/Depth/Resonance/Mix
●コーラス/フランジャー
└Chorus/Flanger Select/LPF/Pre Delay/Rate/Depth/Fb Level/Mix
●トレモロ/パン
└Tremolo/Pan Select/MOD Wave/MOD Rate/MOD Depth/Switch

が直列に入っています。シュワシュワした感じを付けるならフェイザー、より
強烈なジェット感を付けるならコーラス/フランジャーを Flangr にします。
但し Flangr にするとピークでガサガサとノイズが乗る事があるので注意が必要
です。
トレモロ/パンはステレオにするかモノラルにするかの違いなので、ステレオで
左右を往復させたい時は Select で Pan を選択しましょう。

個人的には、欲を言えば Overdrive も欲しかったかな…。


という訳で、ほとんどはエレピの遍歴とエフェクトについての解説ばかりに
なってしまいましたが、エレピは幅広いジャンルに使える便利な楽器ですので、
使い込んでみると良いでしょう。


あいあいがさ / 窪田 宏 (Copy・SC-88Pro版)



posted by ゆう at 2016年09月28日| Comment(0) | 打ち込みテク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月19日

オルガンの打ち込み~

Dr. Perc. Bs. Gt. と来て、今回はなぜかオルガンです。英語で書くとOrgan。
臓器。

oragon.png

それはオラゴン。


オルガンの歴史はとても古く、紀元前に製作された「水オルガン」の記録が
残っていますが、現在は様々な種類のオルガンが存在しています。
発音機構別・時代別に大まかに…

・空気そのものを震わせる(パイプオルガン)
・振動板を空気で震わせる(足踏み式リードオルガン)
・トーンホイールを回転させてピックアップで拾う(ハモンドなど)
・真空管や電子回路による発振(ノバコードなど)

こんな感じに分けられます。88Proにはこれら代表的なオルガンの音色が
しっかり収録されており、特に電気・電子オルガンが充実しているのが良い
ですね。

オルガンは鍵盤の強弱に関係なく一定音量で鳴ります。なので、ベロシティ
一定でベタ打ちするのが一般的ですが、一部の音色はベロシティスイッチに
よって音色が変化したりするので、そういう音色はベロシティを上手く使い
演奏に変化を持たせてみましょう。

ベタ打ちにすると、音量の変化に乏しくなるのではないか?と思われるかも
知れませんが、ハモンド等のオルガンはエクスプレッションペダルが付いて
おり、全体の音量をペダルの踏み込み具合で変える事が出来るので、CC#11:
Expression で音量に変化を付けても良いです。


●グリッサンドについて
オルガンと言えばグリッサンドですね~。グリッサンドは指先を傾けたり、
小指の側面を使って鍵盤を駆け上がる奏法です(下がる場合は親指の爪側を
使ったりもします)。
打ち込みにおいては狭いタイミングの中に音符を細かく置く事になりますが、
その時に音符ひとつひとつが孤立しないようにしましょう。
奏者によっては、手のひらを使って4~5個の鍵盤をまとめてグリッサンド
する場合もありますが、通常はゲートタイムが鍵盤2~3個分重なるように
すると効果的です。

OrganGliss.png
↑グリッサンドの例。
この例は図を見やすくする為にベロシティを段階的にして音符の幅も広めに
してありますが、実際にはベロシティは一定、幅も演奏によっては1拍分や
半拍分だったりと狭くなります。

良く見ると、次の音符にゲートタイムが重なっていますね(下の棒グラフの
色が濃い部分)。
ここでは2音しか重ねていませんが、ロックオルガンなどの場合は更に重なる
数を増やしたりすると、より激しいグリッサンドになります。
グリッサンドはステップ入力ではなかなかそのニュアンスが再現し切れない
ので、グリッサンドだけ実際の鍵盤を使ってリアルタイム録音した方がより
リアルになります。


●ドローバーについて
オルガンはドローバーというものを備えていて、基音Cに対し
・16'     1オクターブ下    ' はフィートと読みます。
・5 1/3'   5度G
・8'      基音
・4'      1オクターブ上
・2 2/3'   12度G
・2'      2オクターブ上
・1 3/5'   17度E
・1 1/3'   19度G
・1'      3オクターブ上
を重ねる事が出来、それぞれの音量を調整することで複雑な音色を作る事が
出来ます。88Proは元々このような倍音を一定割合で含んだ音色が収録され
てはいるのですが、個別に調整出来るような高級な機能はありませんので、
どうしても再現したい時は複数のMIDI Ch.を使って重ねるしかありません。


■PC#17:Organ 1
いわゆる普通の電子オルガンです。D-50やJUNOなどのシンセサイザ風の
ものも含まれています。Bank 16:60's Organ 1 などビブラートコーラスが
かけやすいように、元々MOD LFO Rateの値が速く設定されている音色が
多いので、これらはモジュレーションを深くかけた状態で演奏すると往年の
トランジスタ・オルガンっぽい感じが出せます。

■PC#18:Organ 2
2はパーカッション・オルガンです。パーカッションといっても、打楽器の
事ではありません。倍音(4'や2 2/3)を減衰音で鳴らす事で鳴り始めにアタッ
ク感を持たせたサウンドの事を指します。
88Proではこの倍音を消す事は出来ないのですが、一部の音色(Bank 2:
E.Organ 16+2 やBank 32:Perc.Organ)は、Decayタイムを上げると
パーカッションの部分も一緒に伸びていくので、Decayの値で倍音の聞こえ
方を変化させられます。
※但し倍音の減衰時間が長くなるだけで、持続音にはなりません。


■PC#19:Organ 3
いわゆるロックオルガン系です。Bank 0の Organ 3 はさておき上のバンク
にはレスリースピーカ、いわゆるロータリーオルガンとしてかなり良い音が
揃っています。
※ロータリースピーカについては後述。

Bank 8:Rotary Org. は便利な音色で、ベロシティ112以下ならSlowの音、
ベロシティ113以上ならFastの音、とベロシティで切り替えが可能です。
当然ベロシティを変えると音量も変化してしまいますが、あまり音量に差を
付けずにSlow / Fast を使い分けたい場合は、ベロシティの感度を変えて
みると良いでしょう(x=チャンネル番号、SS=チェックサム)。

■VELOCITY SENSE OFFSET
41 10 42 12 40 1x 1B 5A SS


オフセットを40H(64)→5AH(90)とする事でベロシティの感度を底上げする
ので、極端に音量が変化しなくなります。その代わり切り替わりがシビアに
なるので少し強く弾いただけで Fast の音に切り替わってしまう事もあります
が、これを設定するだけでもノーマル状態よりは音量変化が小さくなります。
EFX 47:Rotary Multi を使うとより過激なロータリーサウンドに出来ますが、
EFXが空いていない場合に使えます。

EFX:Rotary Multiを使って名機・ハモンドB-3のような激しい音を出したい
なら、Bank 17/18:Rock Organ 1/2 が良いでしょう。


■PC#20:Church Org.1
チャーチ、つまり教会に設置されているパイプオルガンの事です。
個人的にはパイプオルガンと言えば トッカータとフーガ ニ短調 を真っ先に
思い浮かべる訳ですが、教会のように石造りで天井が高く広大な空間で演奏
されるので、リバーブを深くかけると良いです。但しかけすぎると当然音が
不明瞭になって、何を弾いているのか分からなくなるので程々に。

パイプオルガンは2~4段の鍵盤と足鍵盤の構成になっているので、両手+
足の3パートという事になりますが、パイプオルガン主体で鳴らす場合は
それぞれのパートにパンを振って、音の分離を良くすると良いでしょう。

音源の特性上、C2以下が不明瞭になりがち(多分ですが、F#2以下の音は全て
1波形を使い回している)なので、オクターブ上を薄く重ねたりすると良いかも
知れません。


■PC#21:Reed Organ
小学校の音楽室にあるような、足踏み式のオルガンですね。この音色自体は
特筆すべき事がないのですが(笑)、カットオフ周波数を+10~15(74~79)
くらいにしてやると高域が出てくるので、鍵盤ハーモニカっぽく使えます。
鍵盤ハーモニカとして使う場合は、ベロシティとCC#11:Expressionに
よる抑揚をしっかり付けるようにしましょう。



●ロータリースピーカとは?
キャビネットの中にウーファ(低音)・ツイータ(高音)2つのスピーカが付いて
いて、スピーカの前面にロータ(ウーファ側)、ホーン(ツイータ側)が設置され
ています。
ロータとホーンはベルトでモータに繋がれており、電動で回転する仕組みに
なっているのがロータリースピーカです。
音の出る開口部が回転する事によって、ドップラー効果を利用したうねり
起こり、これがロータリオルガンの特色となっています。
モータの回転は奏者によって演奏シーンに合わせて手元でFast・Slow・Stop
などの操作を行う事が出来ます。ハモンドのModel 122が有名。

余談ですが、ロータやホーンではなくスピーカそのものをぶん回すという
力業で同様の効果を生み出すヤマハ RA-70/100/200シリーズなども有名。


88ProにはEFX 47:Rotary Multi というロータリスピーカのシミュレートが
出来るエフェクトが内蔵されていますが、これが今ひとつなのです。

このEFXはどうも低域、つまりウーファー側の回転が不明瞭なのです。他の
高級なシンセサイザのオルガンサウンドを聴くとちゃんと高域・低域両方が
回っている感じがしっかり聴き取れるのですが、このEFXは高域ばかり出て
いて、低域の回っている感が分かりにくいのが難点ですね。
何故かと言いますと、高域は左右をグルグル回るように鳴るのに対し、低域
はパンが中央から変化しないので、回っている感があまり出ない
のです。

EFXの設定項目にEQがあり、
・EQ L Gain
・EQ M Fq
・EQ M Q
・EQ M Gain
・EQ H Gain
の5項目が設定出来るようになっています。これを使って低域側もしっかり
聞こえるよう調整すると良いでしょう。で、MとかQとかFqとか何ぞや?と
なるかも知れませんが、次のようになっています。

まず M は Middle、つまり中音域の調整パラメータという意味です。なので
M Gainは中域をどれだけ増幅(減衰)するかを決めるパラメータですね。

FqとQの関係を図に表すと、次のようになります。

EQ_Q.png

Fqは周波数 Frequency を表し、EQ M Gain で調整する周波数を200Hz~
6.3kHzの間で決める事が出来ます。

Qは、Fqで設定した周波数を中心に、どれだけの範囲の周波数を増幅・減衰
させるかを設定するパラメータです。Qの値が小さいと図の赤い範囲のように
狭くなり、大きいと紫の範囲のように広くなります。
特定の周波数だけガツンと増幅(減衰)させたい場合はQを小さく、ピーキーに
ならないように全体的にふわっと増幅(減衰)させたい場合はQを大きくします。
このQというパラメータは一般のエフェクターやアンプなどでも割と出て来る
ので、覚えておいて損はないでしょう。

EFXで低域をはっきり出したい時はFqの値を低め(630Hz付近)にしてM Gain
を上げ、音の分離を良くする為に RT Sept を127にすると良いでしょう。

それでもやはり、低域側は中央から動かないので物足りなさは残りますけど
ね…。これ、低域もちゃんと左右を往復して回ってる感が出ていれば、凄く
リアルな感じになるんですけどねぇ…そこだけが残念。



さて、次は何をやろうかな…何か考えときます。


posted by ゆう at 2016年09月19日| Comment(0) | 打ち込みテク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月15日

ギターの打ち込み~ (後編)

さて、前編・後編と分けたは良いものの、前編以外に一体何があるんだ?と
考えてみると、何だか必要な事は前編に書いてしまった気がして、後編には
何を書けば良いのだろう?と若干困っておりますが…。

とりあえず、前編で書いたギター全般に関する解説を前提として、補足という
形で楽器別に書いて行こうと思います。


単純なコード弾きのバッキングパターン等では1つのMIDI Ch.で済みますが、
ギターは各弦個別にチョーキングなどが出来るため、本格的にギター特有の
奏法をシミュレートする場合には複数MIDI Ch.、それこそ1本の弦に対し
1つのMIDI Ch.を割り当てるなどしないと難しいです。
1本のギターの為に6つのMIDI Ch.を使うというのは、音源を単体で使う上で
ちょっと厳しい条件なので、主に鳴らすトラックと、チョーキングなど他の
弦に影響させたくないトラックを1~2つくらい用意すれば良いでしょう。

それから、スライド奏法について一点補足を。

スライドというのは、あるフレットを押さえたまま左手を別のあるフレット
までスッと移動させ、ピッキングせず音程を変える奏法で、以前の記事
ピッチベンドの使い方」で「例としてC→DやD→Cなど2フレット移動する
時、間に必ずC#の音が入っているので、
・0 → +683 → +1,366 または 0 → -683 → -1,366
・+1,366 → +683 → 0 または -1,366 → -683 → 0
とします。」と触れました。

これはこれで間違ってはいないのですが、ピッチベンドでただピッチを変更
しているだけ
なので、アタックがありません。しかし実際のギターはスライドすると、弦
がフレットに当たった時に、ピッキングほど強くはないものの多少アタック
感が出ます。このスライド時のアタック感を表現するだけでも、グッと生っ
ぽいニュアンスが出ます。

そこで、主に聞こえるギターはピッチベンドで変化させ、その変化と同じ
タイミングで別のトラックに普通にノートを置き(上の例ではC、C#、D)、
薄く重ねるなどすると良いでしょう。つまり、ピッチベンド変化で欠けて
いる「弦がフレットに当たる瞬間のわずかなアタック感」を他のトラックで
隠し味的に補ってやる訳ですね。今のシンセや音源は、元々こういう音色が
収録されていて羨ましい…特にJUPITER-80のフラメンコギターなんか絶品。


■PC#25:Nylon-Str.Gt アコースティックギター(ナイロン弦)
その名の通り、ナイロン弦を張ったギターの事です。クラシックギターと
呼ばれますが、その昔、ナイロンという素材がなかった頃は動物(主に羊)の
腸を加工して張っていた事から、ガットギターとも呼ばれます。
88ProのBank 0にあるナイロンギターはベロシティによって柔らかい音から
硬い音まで幅広く出せるので、強弱のメリハリをしっかり付けましょう。

カットオフ周波数を-10(54)くらいに設定して弱いベロシティで演奏すると、
ウクレレの代わりに使えます。というかむしろこの方がBank 8:Ukuleleより
ウクレレっぽい。まぁ、ウクレレ自体もナイロン弦なので当然と言えば当然
なのですが。
ウクレレの基本チューニングは4弦からソドミラ(GCEA)となっています(ソは
オクターブ下ではありません)。弦が4本で最低音はC4になるので、コードを
演奏する時は4和音で、C4以下の音を鳴らさないように気を付けましょう。

ギター・ウクレレどちらにも言える事ですが、右手小指側の側面を弦に当てた
まま弾いたり、左手をフレットから浮かせて弦に触れたまま弾く事で、
「チャッ」と歯切れの良いミュートを入れる事が多いです。この場合はゲート
タイムを極端に短くして対応します。ミュートも、発音タイミングずらしを
忘れずに入れましょう。


■PC#26:Steel-Str.Gt アコースティックギター(スチール弦)
フォークギターとも呼ばれます。鉄弦なので硬く、倍音を多く含んだ音が
出ます。その為フィルタとの相性も良いので、丸く厚い音から鋭く尖った音、
レゾナンスを効かせてワウ効果を得るなど幅広い音作りが出来ます。
ベロシティに対する変化がナイロンギターほど強くはないので、ソロなど
前面に出す時はフィルタの使い方が重要になります。積極的にフィルタを
いじって行きましょう。

アタックもナイロンギターに比べると鋭いので、ストロークのコード弾き
では発音タイミングずらしが明瞭に聞こえます。
逆に言うと、明瞭に聞こえるぶん手を抜くとすぐにバレます(笑)。

6弦解放(E2)あたりが若干痩せぎみの音色なので、4・5・6の低音弦を多用
する曲の場合は88Mapの Steel Gt.2 の方が合うかも知れません。

マンドリンは同じくスチール弦の楽器ですが、音域はギターよりずっと狭く
最低音はG3になります。またディケイが短いので、長い音を演奏する時は
必然的に同じ音を小刻みに鳴らすトレモロ奏法を行う事になります。
88Proには Bank 18:MandolinTrem という音色が収録されていて、この音色
は鍵盤を離した時にも同じ音が鳴るようになっているので、トレモロを弾く
時に鍵盤を押す回数が半分で済むという優れモノです(笑)。
トレモロを使ったソロを演奏する時は、出だしを弱くゆったりと、ベロシ
ティが山なりになるようにすると良いでしょう。
MandVel.png
↑マンドリンのベロシティ例


■PC#27:Jazz Gt. ジャズギター
88Proのジャズギターは若干硬い気がするので、カットオフ周波数を-20(44)
程度まで下げた方が使い易いです。往年の名機JC-120っぽくEFXのStereo
Chorusをかけるのも良いでしょう。
素早い駆け上がり/下がりフレーズは、全体をレガートっぽく鳴らすより
ゲートタイムを短めにして、所々でベロシティを小さくする「やや空振りっ
ぽい音」を入れるのがコツです。

Bank 8:Pedal Steelは、まぁこれでも使えない事もないのですが、個人的には
後述するTC FrontPick を使った方が合っている気がします。
ペダルスチールギターは基本ボトルネックを使って演奏されるので、ピッチ
ベンドを多用します。また、個別の弦だけに対してボトルネックやペダルを
踏む事でピッチを上げ下げするので、複数トラックに割り振らないと再現が
難しいです。


■PC#28:Clean Gt. エレキギター
88Proは、エレキギターのクリーントーンが豊富に収録されているので、
シーンごとに使い分けがしやすいですね。とは言っても、Bank 0 の音色は
ペラペラすぎて使い道がないので、通常演奏はBank 1:Clean Half、スピード
感が必要なカッティングなどの時はBank 2/3:Open Hard 1/2 など、 割と
使う音色が固定されるような気がします。
特にフロント・シングルピックアップっぽいOpen Hard 2は凄く歯切れが
良いですね。自分はカッティングのパターンにこればっか使ってます(笑)。
また、前述のJC-120を通したコーラスがかかった音色も予め収録されている
ので、EFXが空いていない時は重宝します。

Bank 16~19の頭にTCがついた音色はTeleCaster系の音色ですが、前後ピック
アップの違いがしっかり出ているので、ジャズ系やペダルスチールギターの
代わりに使えます。EFXで軽くクランチさせても良いでしょう。
但し歪ませ方によってはロングトーン時「じゃ────ぅわわわわわわん」と
波形のループポイントに起因するうねりが入ってしまい、しかも鍵盤ごとに
鳴る波形が切り替わるので、ある鍵盤ではうねりが遅く、半音下がると
うねりが速くなるなどの現象が発生します。このうねりは消せないので、気に
なる場合はEFXのDriveの値を下げるしかありません。


■PC#29:Muted Gt. ミュートギター
弦を小指下の側面で押さえて、弦の振動を弱める奏法がミュートですが、
この音色は元々のアタックが若干遅れ気味なので、特にリズムを刻ませる
場合はデータ上で少し発音タイミングを全体的に早めないと、ギターだけ
ノリ遅れているように聞こえます。これはEGを変化させても変わりません。

Bank 1のMuted Dis.Gtはかなり低音が出るので、E2~E3辺りはEQで低音を
カットするか、ディケイの値を-30(34)しないとベースの邪魔になるかも
知れません。Bank 16:Funk Gt.2はベロシティによってミュートとファンク
系音色を使い分けられるのですが、ベロシティスイッチが極端すぎるので
使いづらいです。


■PC#30:Overdrive Gt オーバードライブギター
■PC#31:Distortion Gt ディストーションギター
SC-55の頃から比べるとどちらも格段に質が良くなってはいますが、やっぱり
時代を感じさせる音ですね~。88Proの演奏が今ひとつ迫力に欠けるのは、
音色の波形に高音・低音成分が不足しているからで、特に歪みギターは音が
安っぽいです(More Drive、Dist. Gt2: などはまだマシな方ですが…)。

細かなニュアンスの表現や、わずかに歪むような感じを出したければクリーン
トーンを使う所ですが、パワーコード(一度+五度)でガンガン弾くような時は、
思い切って元々歪みギターとして収録されているこれらの音色を、そのまま
EFXのドライブやディストーションにブチ込んだ方が、攻撃的な音を作れます。
もちろんメロディ弾きにも使えますが、そのままだとかなり高域のノイズが
目立つので、EFXに通す場合はEFXのHi Gainを下げ、それでも足りない場合は
カットオフ周波数を下げると、他の音と馴染みやすいです。
※88Proは、EFXの質はもの凄く高いのですが、
収録されている音色はそれほどでもないので、クリーントーンの音色を歪み系
EFXに通したとしても、どうやっても嘘臭さが消えないんですよね…。


EFXの59番にOD1 / OD2 というエフェクタがあります。これは名前こそODに
なっていますが、初期設定では1がオーバードライブ、2がディストーションに
なっており、それぞれOD/Distを選んで使う事が出来ます。
左にオーバードライブ、右にディストーションなどのツインギター構成の場合
はこのエフェクタを使う事で2つのパートを同時に歪ませる事が出来ますが、
実際に鳴っているパートのCC#10:Panの値をOD1=0、OD2=127と振り切ら
ないと、音がゴチャ混ぜになって汚く聞こえたり、あらぬ定位から音が聞こえ
たりするので注意が必要です。


■PC#32:Gt.Harmonics ギターハーモニクス
このハーモニクス音は、チューニングの時などに行う「フレットの上で弦に
軽く触れて鳴らす音」なので、曲の中ではあんまり使い道ないですね。
Bank 8:Gt.Feedback2・Bank 16:Ac.Gt.Harmnx・Bank 24:E.Bass Harm.
あたりは、曲の中でも効果音として結構使えます。

ギター奏法に「ピッキング・ハーモニクス」(以下 P.H)というものがあります。
ピックで弦をはじいた時に、そのピックを持つ親指の側面が弦に一瞬接する
ようにすると、その音程の倍音を強調する事が出来ます。
ギターの演奏を聴いていると、所々で裏返ったような高い音が出ていますね。
あれがP.Hで、リズムやソロの中で使うととても効果的な奏法です。

自分はこのP.Hが大好物です(笑)。歪み系ギターのソロなどでは大抵入れて
いますが、このPC#32ハーモニクスの音色は使っていません(奏法が違うので
当然ですが…)。
P.H表現では、例えばG3の音をP.H化したければそのままの音色で2オクターブ
上のG5や、それに5度を加えたD6など高い音を鳴らし、目立たせる為にピッチ
ベンドでちょっと大袈裟なビブラートを加えると、それっぽくなります。

但し、やりすぎると「いかにも」な感じがして逆効果になりがちですので、
多用するのは避けましょう(笑)。

↑やりすぎの例(メトロイド アレンジバージョン Kraid's Hideout)


次は何を書こうかな…オルガンとか?何か考えておこう。


posted by ゆう at 2016年09月15日| Comment(0) | 打ち込みテク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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