2025年03月19日

SC-88Pro 音色に関する四方山話

3月も下旬にさしかかりましたが、DTMerの皆さまにおかれましては春先も
全裸DTMが捗っておられる事とお慶び申し上げます。

今回で555記事目。

今回は、SC-88Pro に搭載されている音色についてグダグダっと色々書いて
みる記事となっております。
ハードウェアに関しては以前の記事 SC-88Pro 発売20周年 で詳しく書いて
いるので、ソフトウェア的な面を見てみようかと。尚、全ての音色について
書くのは現実的ではない(1,117音色もある)ので、特徴的な音だけを挙げて
います。

プログラム・チェンジ番号、バンクセレクトMSB、音色名となっています。
尚、直接Rolandに確認を取っている訳ではなく憶測も含まれているので、
その辺にご注意下さい(笑)。


PC#:003 MSB:001 EG+Rhodes 1
Piano 3は硬いピアノ音色で、いわゆるエレクトリック・グランドピアノの
音ですね。音色名の通り、Electric GrandにRhodes(ローズ)の音を重ねた
音色です。
ヤマハ CP系(CP-80等)の音が元となっており、それっぽい音がRolandでは
RD-700などの機種に搭載されていました。
EGRhodes.jpg

PC#:005 MSB:016 FM+SA EP
FMは言わずもがな、FM音源系エレピ。SAはRD-1000等に搭載されていた
SA(Structured Adaptive)音源。両者のエレピを重ねたのがこの音色です。
rd-1000.jpg

PC#:017 MSB:028 VS Organ
倍音の豊富な電子オルガン系の音ですね。これはほぼそのままと言った感じ
ですが、シーケンシャル・サーキットの Prophet VS に VS Organ という
名の音色が入っています。それを真似た音でしょう。
ProphetVS.jpg

PC#:031 MSB:002 Dazed Guitar
ディストーション系の歪みギターに、オクターブ下のエレキベースが重ねて
あるような音ですね。
この音はジミー・ペイジ(Led Zeppelin)の Dazed and Confused っぽい
気がしますね…。ギターとベースがユニゾンする辺りの感じが出てます。

PC#:039 MSB:006 JPMG Bass
moogっぽいシンセベースですが、持続音ではないですね。これについて
色々と考察してはみたものの、JPMGが何なのかは良く分からず。
JUPITER系とmoog系を混ぜたものかなぁ?と思ったり。

PC#:039 MSB:--- TB303~
009 TB303 Bass
011 TB303 Bass 2
013 TB303 Saw Bs
014 Rubber303 Bs
015 Reso 303 Bs
017 303 Sqr Bs
018 TB303 DistBs
これらはRolandが昔販売していた Bass Line TB-303が元ネタですね。
ベースに特化したアナログシンセで、シーケンスフレーズをループさせたり
CV/GATEで鳴らしたり出来ました。
TB303.jpg

PC#:040 MSB:023 KG Bass
KORG系のシンセベースですかね。サイン波っぽいシンセベースです。
ちなみに PG#:081 MSB:010 に KG Lead という音色がありますが、この
音色もアタックが微妙に違うだけでほぼ同じ音です。

PC#:040 MSB:005~007 MG~
005 Mg Oct Bass1
006 MG Oct Bass2
007 MG Blip Bs
これらはシンセベースとして代表的な、moog(モーグ)の音ですね。なぜか
005 だけは Mg となっていますが。
88Proではこのように代表的なモデルに似た音を略称で表記している音色が
あります。シンセ音色に固まっているので、アコースティック系をまるっと
すっとばしてその辺りに移りましょう。

PC#:055 MSB:016 VP330 Choir
YMOが使用していたヴォコーダの名機です。海外でもフィル・コリンズや
ヴァンゲリスなど多くのアーティストが使っていました。その音色を模した
もの。88Proでは実際にヴォコーダとしては動作しないので、この音色では
「Ah~」というコーラスサウンドになっています。
VP-330.jpg


なお、これ以降は略称が多く出て来ますが大抵は有名メーカや有名な機種の
略称です。オルガン、ギター、シンセベース、シンセブラス、シンセリード、
シンセストリングスに多いですね。

MG:moog(モーグ)
FM:FM音源系
KG:KORG
P5:シーケンシャル・サーキット Prophet5
OB:オーバーハイム
2600:Arp 2600
CS:ヤマハ CS-80
JP-8:JUPITER-8
JP-4:JUPITER-4
JUNO:JUNO系
LA:LA音源っぽい音色
D-50:そのまんまRoland D-50
OldSynths.jpg

SH-5、SH-101も昔Rolandが販売していたシンセの型番ですね。
SH-5SH-101.jpg

ギターでは…。
JC:Jazz Chorus(Rolandが販売しているギターアンプ、JC-120)
TC:テレキャスター系
LP:レスポール系
となっております。
JC-120.jpg


PC#:081 MSB:004  CC Solo
矩形波のようなリードサウンドに、エレピのアタックを重ねたような音色。
この音色を多用する CC さんと言えば…もちろんチック・コリアですねぇ。
ソロにディレイを深くかけてやると、とても印象的になります。

PC#:081 MSB:006  LM Square
このほわほわした矩形波リードでLMと言えば、ライル・メイズですよね~。
アタック感はありませんが、ディレイと組み合わせる事で幻想的な雰囲気に
なりますね。Close to Home などの曲で聴く事が出来ます。

PC#:082 MSB:006  GR-300
GR-300 はRolandが販売していた、アナログ音源のギターシンセサイザ。
ギターの6弦各1本に2VCOが割り当てられた6音ポリの音源部を持ちます。
パット・メセニー、ジミー・ペイジ等が愛用していました。
88ProではSaw系のリードサウンドになっています。
GR-300.jpg

ちなみに以下の動画でライル・メイズの LM Square っぽい音色でのソロと、
パット・メセニーのギターシンセによるソロが聴けます。オリジナル改造が
施されたグレコシェイプの G-303 と組み合わせ演奏しています(後半。この
時の音源は恐らくシンクラヴィア)。
ドラムがポール・ワーティコなのも(個人的には)見どころ。

パット・メセニー グループ Pat Metheny 「Third Wind」



PC#:082 MSB:007  LA Saw
ちょっとブザーっぽい感じがする、LA音源系のSawです。D-50に似た音が
あったような。

PC#:082 MSB:017  PM Lead
アタックとリリースにピッチEGが付いた、変わった音色です。
う~ん、シンセ奏者でPMというと、パトリック・モラーツくらいしか思い
浮かばないんだよなぁ…。シンセの型番でPM-~てのもない気がしますし。
THE BEATLES の Maxwell's Silver Hammer の最後の方でもピッチEGが
かかったシンセの演奏が聴かれるけど、これを弾いているのがポール・
マッカートニーみたいなので、PM なのか…。結局分からず。

PC#:088 MSB:006 SH-5 Bs.Lead
これも上の方で出て来たRoland SH-5の音です。キャピタルの Bass & Lead
同様にベースでもリードでも使えるという音色ですが、オクターブを目一杯
下げると、8Hzというもはや音として聴き取れないパツパツ音まで出ます。

PC#:125 MSB:011 MC-500 Beep
クロマチック音色の最後はこれ。Rolandが販売していた MC-500 という
シーケンサの、リアルタイム録音時に鳴るクリック(メトロノーム)音かな。
A#5 G5 G5 G5 と鳴らすとそれっぽくなります。
MC-500.jpg


では最後はドラム音色系に行きますか。

PC#:026 TR-808
PC#:029 TR-606
PC#:030 TR-707
PC#:031 TR-909
これはもう説明する必要がないくらい有名ですね。Rolandが販売していた
歴代のリズムマシンの音色です。

PC#:118 MSB:019 909 SD
PC#:119 MSB:008 808 Tom
PC#:119 MSB:011 606 Tom
PC#:119 MSB:012 909 Tom
も同様に、これらのリズムマシンからスネアやタムだけを抜き出した音色。
TR-606707808909.jpg

PC#:028 CR-78
デジタル音源が出てくる前の時代にRolandが販売していたリズムマシンの
音色です。この時代にあったリズムマシンの多くは予めプリセットされて
いたパターンを延々演奏するだけでしたが、CR-78はユーザがパターンを
組んで鳴らせるという画期的マッスィーン。
CR-78.jpg


という訳で88Proの一部音色について、色々グダグダと思うところを書いて
みましたが、こうやって由来なんかを紐解いてみるとシンセの歴史が見えて
来て面白いですね~。

なかなか書くの疲れましたが🙄



posted by ゆう at 2025年03月19日| Comment(0) | SC-88Pro | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年06月20日

SC-88Pro さん今度は電源が入らなくなる

そろそろ梅雨入りしそうな気配ですが、DTMerの皆さまにおかれましては
全裸レインコートDTMが捗っておられる事とお慶び申し上げます。


BandLabで打ち込んだものをSC-88Pro用にデータ移植したいと思い立ち、
88Proの電源をパイルダーオンしたら、電源が入らなくなりました…。

うそん。まじでか。


88ProPower01.jpg

電源スイッチは押された状態になっていますが、通電してもディスプレイの
バックライトが点灯しません。これは電源回路が逝ったかなぁ。

開けて各部の電圧やら電流やら抵抗やらを調べていたら、ふと気になる事が。

88ProPower02.jpg

デジタル側5Vレギュレータがある辺りのリヤパネル(赤丸の部分)が、異様に
熱い。体感だと50℃くらいはありそう。今までこんなに熱くなった事はない
です。

う~ん、やっぱり何かがおかしいな。発熱しているのはデジタル側のレギュ
レータなので、デジタル側基板の5V供給端子の抵抗を測ってみたら…。


88ProPower03.jpg

ゼッ…。

0Ω…。つまりデジタル側の5Vレーンがショートしているという事。ここの
電圧を測ると、0.27Vしかありません。やっぱりショートっぽい。

どこでショートしているのか調べる為に、アナログ基板へと繋がるフラット
ケーブルや自作のS/PDIF回路を外して電源を入れると、ちゃんと5V出てる。
S/PDIF回路は外したままフラットケーブルだけ戻して電源入れたら、普通に
動きました。

えっ。もしかして自作のS/PDIF回路が悪さしてる…?


88ProPower04.jpg

自作のS/PDIF回路です。作ったのは20年以上前。

ずーっとディスプレイ裏のすき間に突っ込んであったので、取り出したのは
20数年ぶり。

88ProPower05.jpg

コネクタを外し、この回路単体で電源+-間の抵抗を測ると、やっぱり0Ω。
この回路が悪さをしているのは確定ですね。

いや良かった~、88Pro側が壊れたんじゃなくてホント良かった。


さて、この基板はIC3つと電解コンデンサしか載っていませんが、ICが故障
したにしてもショートモードで壊れるというのは考えにくいです。

となると、やっぱり電解コンかな。取り外して単体で抵抗値を測ると…。


88ProPower06.jpg

あー、やっぱり0Ωだわ。
色でお察しの通り、この電解コンは三洋製(現Panasonic)の OS-CON です。

OS-CONはショートモードで壊れるという話は以前から聞いてはいましたが、
いやまさか自分が体験するとは。本当にあるんだなぁ。
タンタルがショートモードで壊れて丸焦げになったり、半身吹っ飛んでいる
のは良く見かけますが、OS-CONは初めて見ました。

若干足がくすんでいるようにも見えるけど、お漏らしはしていない模様。

OS-CON に関するドキュメントをPanasonicのサイトで読んでみると、
■導電性高分子を用いて低ESRを実現
・ インピーダンスが理想的な周波数特性で、各種ノイズ除去用としてのデカップリングコンデンサに適しています。
・ リプル電流を多く流すことができ、スイッチングの平滑用コンデンサとして、小型化に適しています。
・ 高速で大きな電流を消費する回路での、バックアップコンデンサとして適しています。

とある一方で、
異常対応・取扱条件
■ 故障モードは、はんだ付けや使用温度環境による熱的ストレスや、電気的ストレス、機械的ストレスなどを主因とするショートモードが主体です。

と書かれています。自分の88Proはファンで強制空冷しているので、内部の
温度はさほど上がりません。となるとやはり、長期に渡って使って来た為の
経年劣化と電気的ストレスでしょうね。


88ProPower07.jpg

33uF / 16V のものを付けていたので、同じものに交換しました。

ただこれも元付いていた物と同時期に買ったものなので、いつまで持つかは
分かりません。未使用で保管していたのですぐには劣化しないと思いたい。


88ProPower08.jpg

交換後、元通り組み立てて再び電源が入るようになりました。出音チェック
しても問題ない様子。

電源が入らなくなるという症状は初めてだったのでだいぶ焦ったのですが、
88Pro側の故障でなくて良かったです。


また壊れたらもう普通のアルミ電解にしようかな。



posted by ゆう at 2024年06月20日| Comment(0) | SC-88Pro | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年05月29日

88Pro 修理後の経過

もうすぐ6月ですね~。また夏が始まってしまうのか…。そろそろ梅雨入り
する季節ですが、DTMerの皆さまにおかれましては全裸レインコートDTM
が捗っておられる事とお慶び申し上げます。


さて、この所特にやる事がなくて2週間ほどほったらかしだった訳ですが、
音の出なくなった SC-88Pro を修理して半年ほど経ちますので、この辺で
再度内部をチェックしておきたいと思います。

ちなみに動作は現在も問題ありません。


88ProRepairAfter01.jpg

デジタル基板側。お漏らししていたSMDの電解コンデンサを全て、普通の
スルーホールのアルミ電解コンに交換しましたが、以降お漏らしや膨張等は
していないようです。

SMDの電解コンを外したら、IPAや無水エタノールで基板をしっかりと洗浄
しておく必要がありますね。

自分はアルコールを基板に直接ぶっかけて、毛先の柔らかい歯ブラシで広い
範囲をコシコシして拭き取るという方法で洗浄しました。パターンや部品の
足を観察してみた限りでは、特に腐蝕など見られないので大丈夫そう。


88ProRepairAfter02.jpg

電源・アナログ基板側。こっちは電源の電解コンしか交換していないので、
アナログ出力側の劣化度合いは分かりませんが、目視した限りではお漏らし
などありませんし、出音もノイズなく正常です。


88ProRepairAfter03.jpg

という訳で、現時点ではこれまで通りの正常動作をしているので、今後それ
ほど気にする必要はないでしょう。

デジタル側基板のSMD電解コンは全てICやLSIなどのパスコンなので、この
電解コンがヘタって来るとロジック系の動作に支障をきたすと思います。


Broken88Pro.jpg

これは拾い画像ですが、ロジック系の動作がおかしくなるとこの写真の様に、
液晶ディスプレイの上半分だけドットが表示されるという症状が多いみたい
ですね。正常動作できずアッパッパーになります。

電解コンのお漏らしで容量が抜けたり、電解液によってハンダ付けや基板の
パターンが侵され導通不良になった結果、各チップが動作不良に陥ってこう
なると思われますが、自分の個体に発生した故障例のように、ロジック系は
正常動作しているのに音が全く出ない、という症状も割と多いようです。

侵され度合いが酷くなるとパターンが剥げてしまったりチップの足が腐って
もげたりもするので、何かしら動作不良の症状が現れたら早急に手当てして
あげる必要があります。
また、こういったスルーホール基板はビア(基板の表と裏とを繋ぐ小さな穴の
中を通るパターン)が電解液で腐ると、不良個所を探すのも大変。

パターンの剥がれは修復できない事もないのですが、チップの足が根元から
もげるとほぼ再起不能です(以前のレギュレータ修復のようにパッケージを
削る、という手も無くはないのですが…ほぼ絶望的です)。

基板の洗浄に、車の整備で良く使うパーツクリーナとか使えるんですかね~。
ハンダのヤニやフラックス汚れなどは綺麗に落ちるようですが、どのような
経年変化が現れるか未知なので、試せていません。大丈夫だとは思うけど。

※スプレー系の洗浄剤は急冷されて結露する事があるので、洗浄後は完全に
乾燥させないと、部品の足が錆びる事があります。


電源の電解コンが容量抜けを起こした場合も、ほぼ同じような症状が出ると
思われます。リプルが多発してロジック系の動作が不安定になる、アナログ
出力にハム(ブーンというノイズ)が出る、などなど。


アナログ系に多数使われている電解コンに関しては、正直どのような症状が
出るのか分かりません。自分はもう長い事デジタル出力で使っているので…。
ノイズが乗る、通電して数分経つと音が出なくなる等が、良くある症状では
ないでしょうか。
背面のライン入出力端子に挿したプラグを動かすと、音が出たり出なくなっ
たりするのなら、ハンダ割れの線が濃厚です。
アナログ系に電源を供給している2つのレギュレータも、ハンダクラックが
起こりやすいので要チェックなポイント。


また、ディスプレイのバックライトは電源の+5Vレギュレータに直結されて
いるので、そもそもバックライトが点灯しないという症状の場合は、電源の
回路(トランス、整流回路、レギュレータ周り)がダメになっている可能性が
高いです。


これからも元気で動いておくれよ、わしの88Pro。



posted by ゆう at 2024年05月29日| Comment(0) | SC-88Pro | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月28日

88Proのディスプレイにお絵描き

11月ももう終わりですね~。なのに20℃超えの日があったり、急激に寒く
なったり変な気温ですが、DTMerの皆さまにおかれましてはクリスマスに
向けて全裸DTMが捗っておられる事とお慶び申し上げます。


先日ふと自分のYouTubeチャンネルを見て思ったのですが、チャンネルの
アイコンが以前のオレンジ液晶のままです。

88ProDispExc06.png

自分の88Proは液晶バックライトを交換してあるので、今の青っぽい色の
アイコンに変えたい。

しかし画面に「ゆうCH」と表示させる為に何のソフトを使っていたのかを
忘れてしまい、ググること小一時間。でも見つかりませんでした。


仕方なく諦めていたのですが、先日何気なくレコンポーザのインストール先
フォルダを見ていたら、何やらそれっぽいファイル名が。

88ProDispExc01.png

この3つです。どうやら以前の画面はこれを使って作成したようなのですが、
普段まぁ使わないソフトウェアなので存在を完全に忘れていました。

この3つのソフトウェアは音源のディスプレイに任意のドット絵を描く為の
ものです。SC-55、SC-88、ヤマハ MUシリーズにそれぞれ対応しています。
せっかく見つかったので、これを使って新しいアイコンを作りましょ。

ちなみにヤマハの MU は「えむゆー」ではなく正しくは「みゅー」ですが、
頭の中ではつい「えむゆー」と呼んでしまう。


sc88lcd.exe を起動します。

但し本体のレコンポーザのMIDI I/Fの設定をそのまま使うので、MIDI I/Fが
接続されていないと起動できません。

88ProDispExc02.png

このように表示されます。

しかもこのウィンドウ、OK を押しても右上の × を押しても閉じることが
出来なくなります。Windows95の頃のソフトウェアですからね。今のOSと
処理が異なるのでしょう。
こうなってしまうと面倒なのですが、タスクマネージャを起動してタスクを
強制終了させる必要があります。


88ProDispExc03.png

MIDI I/Fを接続して起動すると、こんな画面になります。

タイトルバーが表示されない為、画面左上に張り付いたままでウィンドウを
移動させる事は出来ません。このまま作業しましょ。

アイコンは左から、
・保存ファイルの読み込み
・名前を付けて保存
・チューニング用のA4 発音
・パニックボタン
・描いた絵のデータを音源に送信
となります。パニックボタンは万一音源が鳴りっぱなしで止まらなくなった
時に、発音を強制停止させるためのもの。

クリックしてドットが黒くなり、右クリックで白くなります。表示させたい
ドットをポチポチして絵を描いて行く訳ですね。
「全て消去」ボタンはありませんので、初期状態に戻したかったらドットを
ひとつずつ右クリックして消すか、ソフトウェアを再起動するしかないのが
ちょっと面倒。

ドラッグにも対応しているので、クリックしたままマスをなぞれば連続して
ドットを描く事も出来ます。


88ProDispExc04.png

描いてみました。この状態で右端の音源へ送信するボタンを押すと…。

88ProDispExc05.jpg

その通りにドットが表示されました。

尚、3秒ほどで通常画面に戻るので、表示させっぱなしには出来ません。
さらにこのソフトウェア、ウィンドウを見て頂ければお分かりかと思います
が、タイトルバーもメニューバーもない上に終了ボタンもありませんので、
正常に使えても終了させたい時はやっぱりタスクマネージャからプロセスを
終了しないと閉じられません(笑)。


これらの音源は、ドットを表示する為のシステムエクスクルーシブ(SysEx)が
元から用意されているので、そのSysExを利用しているだけですが、GUIで
描けるというのはとても便利です。
こんなSysEx、手打ちしていたらものすごく面倒ですからね。


このお絵描きをする機能、88Pro本体にも装備されています。

・EFX TYPE▷ と EFX PARAM◁ を同時に押すと、FrameDraw: Page 1 と
表示されます。INSTRUMENT ◁・▷でページを選択可能。

△・▽:カーソルの上下移動
PART◁・▷:カーソルの左右移動
ALL:カーソル位置のドットを点灯
MUTE:カーソル位置のドットを消灯
CHORUS◁・▷:ドットの大小
LEVEL◁・▷:表示している絵を上下に移動する
PAN◁・▷:表示している絵を左右に移動する

上手く描けたら、INSTRUMENT◁・▷を同時押しすると、MIDI OUT端子
からSysExとして送信する事が出来ます。シーケンサへの取り込みに便利。

REVERB◁or▷:絵の白黒反転
MIDI CH◁or▷:絵の消去
KEY SHIFT◁or▷:絵を別のページにコピー(INSTRUMENT◁・▷でコピー
先のページを選択)
ALL で実行、MUTEでキャンセル。

本体内に10ページまで保存が可能です。


尚、このお絵描き機能以外に、音色名の部分に任意の文字列を表示させる
機能もありますが、どちらもSysExで行う事が出来ます。

88ProDispExc07.gif

ここでは詳しく解説しませんがマニュアルに詳細が載っているので、興味の
ある方は試してみてはいかがでしょう。
過去記事「ちょっとした小ネタをいくつか」でも、文字列表示について解説
しています。

中にはSysExを駆使して Bad Apple!! の影絵を歌詞付きで作ってしまう猛者
もおられるようで。

Bad Apple but it plays on the SC-88Pro LCD


わしの Bad Apple!! ↓にも埋め込んで欲しい…。

Bad Apple!! feat. nomico / 東方幻想郷 (Coverとちょいアレンジ?)



88ProDispExc08.jpg

という訳で、レコンポーザ付属のソフトウェアのお陰で簡単にアイコン用の
画像を作る事が出来ました。

近々入れ替える予定~。


いや今やらんのかい。



posted by ゆう at 2023年11月28日| Comment(0) | SC-88Pro | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月21日

SC-88Pro の音が出なくなりました… #4 再発しました

今月初め頃に SC-88Pro の音が出なくなる症状が発生しまして、一応修理を
してその後快調に使えていたのですが、残念ながら再発しました。


一昨日、以前作ったデータを修正しようと88Proの電源を入れて鍵盤をカタカタ
してみたら、まーた音が聴こえない。

PREVIEWを連打すると、たま~に正常な音が聴こえていたかと思えばパツッ!
とノイズが鳴り、それ以降はサー…とノイズが聴こえたりかすかに楽器音が
ジュワ~ン…と鳴ったり。で、放置しているとまたパツパツッ!と鳴って正常に鳴る
ようになったりで、以前と全く同じ症状再び。


まじか…。


修理後は問題なく使えていて完全復活を確信していたので、また同じ症状が
発生したと正直愕然としまして、ショックでボーッとしてしまいました。

まぁそうは言っても「時々正常に戻る」のであれば、直せる余地は残されて
いるので、また細かく見て行きますか。
直さないと気になって夜しか眠れません。

再修理ってメンタルやられるなぁ…😞


まずは88Proのデジタル側ブロックダイアグラムを見ます。

88ProBlockDiagram.jpg

液晶表示、パネル操作、MIDI信号の受信などロジック部分は正常に動いて
いるようなので、音に関わる部分を見てみると、赤枠で囲った部分が発音に
関わっているようです。

XP3 は RA01-005 Custom Sound Generator です。デジタル側基板で
最も大きいサイズのLSI。LSPはBOSSロゴが入ったDSPチップ。
そしてそれらにぶら下がっているDRAMが3つに波形ROMが5つ。

この辺が怪しいのは変わりありません。

88ProMainPCB.jpg

基板上のこれらIC/LSIチップの位置関係はこんな感じ(部品面)。


で、最初はまたチップの足のハンダクラックチェックから。

前回はピンセットでつまんで左右にクニクニしましたが、今回は先端が鋭い
OLFAのデザインナイフの刃を使って、下から引っ掛けるように足をはじいて
浮き上がって来る足がないかを、全てのチップでチェック。

結果、全て良好でした。浮き上がったり動いてしまう足はありません。


PREVIEWを連打しながら、全てのチップの足を割りばしの先っちょでグッと
押して回り、症状が変わる部分を探しましたが、これも空振り。

う~ん、何がいかんと…。


なので、ちょっと視点を変えてみようかと。

前回の修理作業でチップの足の再ハンダを行ったけど再発した、という事は
チップだけを重点的に見ても仕方ない気がする。全ての部品を疑わなくては。


という事で、チップ以外の部品を片っ端からグイグイ押していたら、怪しい
部分を発見。


88ProRepair_01.jpg

この中に怪しいヤツがいます。

88ProRepair_02.jpg

この辺。

88ProRepair_03.jpg

お前だ!

RA20、100Ω×4の抵抗アレイですね。こいつを指で押すと正常な音が鳴る
ようになり、指を離すとまたパツパツッ!と鳴ってノイズだけになります。

88ProRepair_04.jpg

極限まで拡大しても、ハンダ付けはちゃんと付いているように見えます。
足の表面に点や傷がありますが、これはデザインナイフでド突いた跡。


他の原因を疑って全ての小さなICやトランジスタ、抵抗アレイもグイグイと
押して確かめましたが、症状に変化はありません。
このRA20だけが押すと明確に影響します。


88ProRepair_05.jpg

RA20のハンダ付けをやり直しました。ハンダごてを当てると、お漏らしした
電解コンと同じあの臭いが漂って来ます。

すぐ上にあった2つの電解コンを前回交換したのですが、この電解コンからの
電解液で侵されていたみたいですね。


このRA20が一体どこに絡んでいるのか、回路図を見てみると…?

88ProSchematic_RA20.png

ここです。RA01-005 の5・6・7ピンに繋がっており、このRA20を介して
コネクタ CN5 に行き、ここからアナログ側基板に繋がります。この先はと
言えば、当然DACを通ってアナログ出力端子に行くので、この抵抗アレイ
RA20は楽器音、DSP等を含めたデジタル信号の最終出力の経路です。

そしてこの CN5 には、自作したS/PDIF基板も繋がっています。

つまり、アナログ出力とS/PDIFどちらも、このRA20を経由して繋がる事に
なるので、ここでハンダクラック等接触不良が起こるとどちらの出力からも
音が出なくなる訳です。
たまに正常に鳴ったりしていたのは、微細なハンダクラックで接触したり
しなかったりしていたからみたい。


ようやく真犯人を捕らえた気がします。このRA20のハンダ付けをやり直し
してからは、以前のような症状が起こらず正常に発音するようになりました。
しばらく調子が良かったのは、付近のチップの足を再ハンダした時に、接近
したハンダごての熱で一時的に導通が良くなったとか、そんな感じかな。


抵抗アレイは100Ω×4、その内1つは使われていないので、また同じ症状が
出た時は普通の100Ω抵抗3本へと交換してしまおうかと思います。
抵抗アレイの下にしみ込んだ電解液は、表面からは除去できないので、また
腐る可能性大です。

でも、確定とまでは行かないもののほぼ確でこいつが原因ぽいので、それが
分かっただけでも収穫は大きいです。


まぁ、またしばらく様子見ですね。現在も発音テスト中。
頼む、壊れないでくれ…わしの88Pro。


※2023/11/30 追記

取り敢えずリハビリがてら、昔作ったデータを修正して1曲録ってみました。
今の所大丈夫っぽい。

ツインビー レインボーベル・アドベンチャー Battle面BGM
'May the Best Bee Win ' / TwinBee RAINBOW BELL ADVENTURES (Cover)



※2024/12/14 追記
あれから1年経ちましたが、SC‐88Proは正常に動作しています。やはりこの
症状の原因は、抵抗アレイ RA20 のハンダクラックが原因だったようです。
交換した電解コンがまたお漏らししなければ、多分もう大丈夫。



posted by ゆう at 2023年11月21日| Comment(4) | SC-88Pro | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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