もう10月も下旬に入ったと言うのに初夏のような気温になっておりますが、
DTMerの皆さまにおかれましてはドキッ!全裸だらけの大DTM大会開催中と
お慶び申し上げます。
最近しばらくの間BandLabで打ち込み作業をやっていましたが、ちょっと
気になる事が。

打ち込み作業に使っている ヤマハ MIDI キーボード CBX-K1 の赤丸辺りが
ほんのり温かい事に気付きました。
開けて熱源を調べてみると、電源の5Vレギュレータ・78L05 が熱くなって
いるようです。

消費電流を測ってみると60mA前後。78L05 はMax 100mAなので6割程度
になっているようですが、結構発熱するもんですね~。MIDIステータス用の
LEDや、
自作でーびーむを追加しているせいかな。気になるので電源回路を
少し改造しましょうか。
ついでに邪魔なACアダプタを排除できるよう、USB電源化も。

という事でこんな回路を作りました。ただの5Vレギュレータ回路です。
レギュレータとUSBで互いに逆流しないように、ダイオードを入れてます。

で完成。
ショットキ―バリアダイオード(SBD)がやけにオーバースペックな感じです
が、実際60V 40A物なので圧倒的にオーバースペックです(笑)。
でもV
Fが最小で0.08Vと低いので、これを使用。これ以上V
Fの低いSBDは
手持ちにありませんでした。
ここでひとつ疑問が。

CBX-K1 のサービスマニュアルで回路図の電源周り(赤線)を見ると、なぜか
レギュレータへと入る前の電源が抵抗分圧されて、CPUの23ピンに入って
います。
これ何でじゃろな?とずっと疑問だったのですが、どうやらCPUのアナログ
入力に入れて、電池の消耗度を監視しているみたいですね。
このキーボードは電池使用時、電池が消耗して来るとオクターブのランプが
点滅して教えてくれます。それを監視しているのがこの23ピンみたい。
試しにベンチ電源に繋ぎ12Vからどんどん電源電圧を下げて行くと、8.2Vを
切った辺りでオクターブランプが点滅し始めます。
10kΩと3.3kΩで分圧されていて、電源電圧が8.2Vの時CPUの23ピンは約2V。
つまりこの23ピンの電圧が2Vを切ると、電池が消耗しているとみなされる
ようですね。
電源に使われている78L05はロードロップ品ではないので、出力5Vを正しく
得るには少なくとも出力電圧+3V以上、8V程度の入力が必要です。だから
電源電圧8V辺りで電池切れ警告でLEDが点滅するようになっている模様。
電池切れ警告が出ても通常動作しますが、やはり点滅されると鬱陶しいので
この23ピン用の電圧も作らなくてはなりません。面倒だな…。
なので回路図や実物の写真に抵抗が入っている訳ですね。今回は5Vからこの
電圧を作るので、10kΩと24kΩで分圧して、大体3.5V程度にしています。
これくらいあれば警告は出ないでしょう。

USBから給電しています。出力は4.93Vで問題なし。

CPU 23ピン用の電圧は想定通り約3.5V。

CPU HD6473298P10 (H8/329) データシートで電気的特性を確認すると、
アナログ入力は
-0.3V to VCC +0.3 になっています。
電源電圧は5Vなので、5.3Vまで許容されるという事ですね。
適当に10kΩくらいの抵抗を通して、5Vと直結してしまっても問題ないとは
思いますが、今回は一応電流制限も兼ねて抵抗分圧で3.5Vかけています。

ではCBX-K1側にも手を加えて行きます。
黄色丸の78L05と、緑丸の23ピン用分圧抵抗10k/3.3kΩを撤去。

ケースにUSB Type-Bメス用の穴を開けます。12x11(mm)。
今時USB Type-Bはないだろ…と思ったのですが、意外と現行のプリンタに
まだ使われているんですね。
ちなみにこのUSB端子はあくまで給電のみです。CBX-K1 は元々USB対応の
デバイスではないので、通信は出来ません。
基板を固定したら、撤去したレギュレータとCPU 23ピンへの配線も済ませ
ます。

ACアダプタを接続してみました。電源電圧は16.84V。
この電圧だと元の回路では、CPU 23ピンは4V程度になります。

電源回路の出力電圧は4.81V。
SBDが入っているぶん5Vより若干低いですが、動作には支障ありません。

CPU 23ピンの電圧は3.4V。これもSBDを通った分少し下がっていますね。
でもこの電圧なら電池切れ警告は出ません。

メイン基板をケースに戻そうとしたら、電源基板とカチ合って入らなくなり
ました(黄色矢印)。仕方がないのでメイン基板を5mmほど切り落とし。
この部分はGNDのベタパターンしかないので問題ありません。

背面。う~ん、USB端子も右に寄せられれば良かったんですが、ここにしか
付けられませんでした。ちょっと離れているのが気になるけど致し方なし。
ちなみに回路的にUSBでの給電は電源スイッチより後ろになってしまうので、
USBで繋いでいる間はずっと電源入りっぱなしになってしまいますが、結局
PCに繋いで使うので、PCの電源と連動になってかえって便利ですね。

USB電源で動かしていますが、動作には全く問題ないですね。正常稼働中。
レギュレータもMax 500mAの78M05にしたので、ほとんど発熱はなし。
今のところCBX-K1は使う時だけ引っ張り出して来て、MIDIケーブルとAC
アダプタを繋いでいました。それに若干の煩わしさを感じていましたが、
PCにMIDI I/FのUM-ONE mkIIとUSBケーブル1本を繋いでおけば、すぐ
準備完了になります。ACアダプタが要らないのはスッキリしますなぁ。
ちなみに左上に付いている赤いボタンは、どこにも配線が繋がっていません。
サスティンペダルの代用にしようと思ったけど、このスイッチはカチカチと
チャタリングが酷くてペダルデータがダブりまくるので、配線外しました。
ハードウェアは電源の確保が鬱陶しい所ではありますが、これで多少便利に
なりました。打ち込み作業をしたい!となった時に、素早くセットアップが
出来ますね。
※2023/10/21 追記このキーボードは、ピッチベンドとモジュレーションが 0V~2.5V~5V の
アナログ変化を読み取っているので、電源電圧が下がるとコントローラから
の出力が相対的に下がってしまうのでは?という懸念がありましたが…。

実際に操作してデータをリアルタイム録音してみた限りでは、どちらも上限
+8,190 / 127 が出力されているので、これも大丈夫(ピッチベンドの範囲は
-8,192~0~+8,191 の16,384段階ですが、1違っていてもコントローラと
しての用途であれば差はありません)。