2025年03月17日

PSR同士で鍵盤の交換は可能なのか #1

今回は、以前からちょっと気になっていた事を考察するだけの記事です。

2021年の夏にヤマハ PSR-310 のジャンク品を1円で買って、修理や改造を
したのですが、重い・デカい・DSP非搭載・ピッチベンドも非搭載といった
理由もあって、以来あまり出番がありません。

そこで、PSR-310 の鍵盤を PSR-500 と入れ替え出来ないか?と思った訳
ですね。

PSR-500_310_KeySwap_04.jpg

PSR-310 の鍵盤はずっとソフトケースに入れられていた為、比較的白さを
保っています。それに対し PSR-500 の鍵盤は…。

PSR-500_310_KeySwap_03.jpg

だいぶ黄ばんでいます。これはさすがに弾いていて萎えるので、ほぼ出番の
ない 310 の鍵盤を 500 とスワップ出来たら良いな、と。


差しあたって問題点は電気的な部分と、物理的な取り付け部分。取り付けに
関しては実物同士で開けて比較しないと何とも言えないので、今回は電気的
接続を見てみようと思います。


PSR-500_310_KeySwap_01.png

これは500/310のサービスマニュアルの鍵盤部回路図です。

500:HD63B50、310:HD63B05 とCPUが違う、310は IC/ と REQ/
に4.7kΩの抵抗と22pFのコンデンサが入っているが、500は直結となって
いる(水色枠)などの違いはあるものの、ほとんど同じ回路ですね。


これもしかしたら、そのまま載せ替えられるんじゃね?🤔


そんな気がします。一応HD63B50/05どちらのデータシートも確認しました
が、電気的特性もほぼ同じみたいです。
50 の方は ACIA (Asynchronous Communications Interface Adapter)、
05 の方は MCU (Microcomputer Unit) と呼び名は違うようですが。

CPUは元の物を使い鍵盤だけをスワップするとなると赤枠部分で繋ぎ替える
事になるのですが、この部分は500と310で配列が違っているし本数も多い
ので、CPU後ろの通信線4本と電源2本でスワップする方が楽かな。


PSR-500_310_KeySwap_02.png

PSR-310では、鍵盤用のCPUは基板の端にあります(赤塗り部分。500は
このCPU部分だけ独立した基板が鍵盤の裏に付いている)。

なので、例によって基板をぶった切ってこの鍵盤CPU周りだけを抽出して
配線を6本引き出し、500側と接続してやれば動きそう。
しかしぶった切ってしまうともはや残された道は分解ババンバーン!しかない
ので、それを避けるには鍵盤とCPUの間で繋ぎ替えるしかない。

どちらにするかは今後の考察次第ですが、出来る限り310の方も音源回路は
残したいかな。MT-750のようにパネルだけの音源モジュール化が出来れば
まだ使い道はあるかも。

いや、でもな…310ってコントロールチェンジがパンとサスティンしか対応
してないしな🙄ベロシティすら対応していないMT-750よりはマシだけど。


取り敢えず今回は考察まで。次は実際にどちらも開けてみて、物理的な取り
付け方法の違いで移植出来るか調べてみます。



posted by ゆう at 2025年03月17日| Comment(0) | 電子楽器 修理・改造 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年03月13日

CBX-K1 を修理するよー

徐々に気温が春めいて来ましたが、DTMerの皆さまにおかれましては日々
春の全裸DTMが捗っておられる事とお慶び申し上げます。


先日、普段使っている CBX-K1 に何かサスティンペダル端子みたいな隠し
機能ないかな~、と探っておりました。まずはその辺から。

CBX-K1Repair_01.jpg

CBX-K1 のCPUです。各ピンはこのように配線されていますが、緑色の枠で
囲ったピンは配線されていません(NC)。
左下が1ピン、右下が32ピン。左上は64ピンとなっております。

このうち22~29ピンはアナログ入力(AN0~AN7)になっており、AN0~2は
それぞれピッチベンド、電池残量、モジュレーションに使われていて、他の
ピンはGNDに落とされています。
この端子は以前(記事にはしていませんが)GNDから浮かせて電圧をかけて
みたりして、何も機能がない事を確認済み。

しかし他のピンはまだ確認していなかったので、この緑枠のピンを680Ωの
抵抗経由でGNDに落としたり、+5Vに繋いでみたりしました。

しかし なにも おこらなかった!

多分、内部のROMにもプログラムされていないんでしょうね。まぁそりゃ
そうか。サスティンペダルの時のようには行かないか…。

いやね、この CBX-K1 って、鍵盤を押したままだとオクターブUp/Downの
ボタンが効かないんですよ。このキーボードで唯一ここだけが不満なので、
もしかしたら近くの空きピンなら押鍵したまま出来るんじゃね?とか思って
いたのですが、そんなに甘くはなかった。


まぁそんなこんなで、残念…と思いつつ元通りに組み立てたら、右側の鍵盤
1オクターブ分くらいを弾いても音が出なくなりました。
Shift ボタンで機能を設定して右端のド(DECIMAL)を押すとLEDが点滅する
ハズなのに、それもない。

これは…アレですな。原因はすぐ思いついたので、再度分解。


CBX-K1Repair_02.jpg

あー、やっぱりね。メイン基板と鍵盤の基板をつなぐフラットケーブルが、
鍵盤側でちぎれてます。
いつも分解するたびに「ここ絶対いつか切れるよな…」と思っていましたが、
やっぱり切れましたかそうですか。

仕方ないので直しますか。鍵盤の基板を外すと絶対ベロシティがデタラメに
なるから、外したくないんだよなぁ…。


CBX-K1Repair_03.jpg

基板を外しました。

CBX-K1Repair_04.jpg

鍵盤のスイッチ部分は予め、マスキングテープで保護しておきます。ここに
うっかりハンダを付けてしまうと、絶対おかしくなるので。

CBX-K1Repair_05.jpg

ハンダ付けし直しました。


CBX-K1Repair_06.jpg

元通り組み立てて動作チェックし正常に発音する事を確認。Shift ボタンで
機能を設定してド(DECIMAL)も、正常に機能しているので、これで良し。

ただ、案の定ベロシティがおかしくなりましたね…。真ん中のオクターブの
鍵盤が、弱めに弾いてもベロシティ127になってしまいます。これだから
鍵盤バラしたくないんですよね…。

数日放置しておくとゴムが馴染んで直っていたりするので、しばらくの間は
様子を見ます。どうにも直らないようならまた分解かな。


★おまけ

LEDVUMeter_Amp01.jpg

MSL9351 使用のLED VUメータのアンプ基板が古いので、新しく作り直し。

LEDVUMeter_Amp02.jpg

アンプIC TDA2822 はそのまま使い、電解コンを小型のものに。裏に付けて
いた抵抗10kΩ/1kΩもSMDのチップ抵抗を使い、電源スイッチと感度調整用
ボリュームを一体になったものに交換。

これもそのうちケースに入れて、今のメインPCの音声で動くようにしたい。



posted by ゆう at 2025年03月13日| Comment(0) | 電子楽器 修理・改造 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月06日

ヤマハ REX50 のLCDにバックライトを付け…たかった #2

今回は、昨日上手く行かなかったヤマハ REX50 液晶ディスプレイにバック
ライトを付ける作業の続きであります。

元のディスプレイと交換したものの何も映らなかったので、恐らく導光板が
厚過ぎて接触が悪くなっているものと判断。しかしちょうど良い厚みの物が
なかったので、これを何とかします。

REX50LCDBkLt_23.jpg

再分解して導光板を取り出し。あまり何度も分解していると基板をカシメて
いるツメが折れてしまいそうなので、何とか今回で決めたいところ。

REX50LCDBkLt_24.jpg

現状、導光板の厚みは1.7mm程です。これを均等に薄くするのは難しそう
だなぁ…。それこそ電動カンナやプレーナ、フライス盤などが必要。しかし
そんな物ないので、原始的な方法で削ります。

REX50LCDBkLt_25.jpg

板切れに導光板を固定し、別の板切れに貼ったサンドペーパーで削ります。
ネジの高さを1.5mmにしてあるので、ネジの頭が削れ始める位まで厚みが
偏らないように。

しかしこれなかなかに重労働ですね…。面で削るのは大変です。あまり面に
ペーパー目を付けたくなかったので#600で空研ぎするも埒が明かないので、
#400→#240と次々に番手を落として、結局水研ぎ#120でやっとまともに
削れました。

まぁ拡散シートが入るので、ペーパー目が多少残っていても気にならないと
思いますが。

REX50LCDBkLt_26.jpg

ネジ頭が削れて来ました。ここらで厚みを測ると…。

REX50LCDBkLt_27.jpg

ようやく1.5mmです。結構長いこと削っていたんですが、それでも0.2mm
やっと削れたといった感じ。
ハドフで適当に格安ジャンクの液晶TVを買って来て、それから導光板を摘出
した方が楽だったかも知れない。


REX50LCDBkLt_28.jpg

再度組み立てて5Vを繋いでみたところ。何も信号が来ていないので表示が
おかしいですが、これで正常です。

ちなみにLEDの電流制限抵抗に120Ωを入れていましたが明るすぎる気がした
ので、270Ωにしました。今思うと390Ωか470Ωでも良かったかも。

ドット欠けなどがない事を確認したので、REX50 に載せてみましょうかね。


REX50LCDBkLt_29.jpg

載せました。

REX50LCDBkLt_30.jpg

元のディスプレイを焦って外したら、パターン1本剥げてしもた…。当分使う
予定はないのでこのまま保管しておきますが、直すのはさほど大変ではない
でしょう。


REX50LCDBkLt_31.jpg

[BYPASS]と[MEMORY]を押しながら電源を入れてテストモードに入り、
テスト1:LCD表示機の動作チェック を選択すると、数回全ドットが点滅
するので、ここで欠けてるドットやラインがないかチェックします。

問題ないようですね。

LEDが眩しいので、特に見えなくても良さそうな一番右の桁だけ塩ビ板で
隠してみましたが、これだとバイパス表示の B が見えなくなってしまう為
やっぱり剥がしました。

REX50LCDBkLt_32.jpg

通常動作でも正常に表示されています。


REX50LCDBkLt_33.jpg

という訳で上キャビを閉じて作業完了。

この液晶に合わない導光板を無理やり使った為か、今回は光のムラが強めに
出てしまっています。肉眼で見ても右側が煌々と明るく、左側は暗いですね。
でもまぁ自宅で自分が使うだけなので、これで問題ないです。

もっと良さげな導光板が手に入ったら直したい気もしますが、これ以上裏の
ツメを曲げ伸ばししていたら本当に折れてしまいそう。今回はこれで良しと
しておきます。


見づらかったREX50のディスプレイが、とても見やすくなりました。



posted by ゆう at 2025年01月06日| Comment(0) | 電子楽器 修理・改造 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月05日

ヤマハ REX50 のLCDにバックライトを付け…たかった #1

新年明けましておめでとうごじます。昭和100年の本年もDTMerの皆様に
おかれましては、新春全裸DTMが捗っておられる事とお慶び申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


先日ヤマハ REX50 を引っ張り出して使っていたのですが、ディスプレイに
バックライトが無く見づらい…と思ったので、今回はこれにバックライトを
付ける作業をしました。

今回は写真が多いので、サクサク行きましょ。


REX50LCDBkLt_01.jpg

この時代のヤマハ製品で多く使われていた、16桁×2行のディスプレイです。
REX50以外にも、QX5やRX、TXシリーズなどでも良く使われていましたね。
多くはバックライト付きでしたが、このREX50はなぜか付いておらず。
LED 7セグが付いており、暗いステージ等ではそちらが見えるので、LCDは
バックライトいらないよね?という感じなんでしょうか。

REX50LCDBkLt_02.jpg

キャラクタLCDコントローラとしては定番の、 日立 HD44780 を使った物。

REX50LCDBkLt_03.jpg

LCDだけ外しました。このディスプレイはバックライト無しなので、まずは
バックライトを付ける作業から始めます。反射型液晶なので、裏面には反射
シートが貼られています。これを剥がす必要がありますね。

REX50LCDBkLt_04.jpg

見づらい写真で申し訳ないのですが、反射シートと液晶本体のガラスの間に
黒い層が見えます。これは偏光シートで、これを剥がしてしまうと全く何も
文字が見えなくなってしまうので、これを残しつつ表面の反射シートだけを
剥離する必要があります。

REX50LCDBkLt_05.jpg

反射シートだけカドを起こし、偏光シートを一緒に剥がしていない事を確認
してから剥がします。

REX50LCDBkLt_06.jpg

反射シートだけ剥がれました。矢印は液晶上下の覚え書き。

REX50LCDBkLt_07.jpg

反射シート裏にある粘着を除去します。エタノール染み込ませティッシュで
気長にこすっていると、徐々に粘着が溶けて綺麗になって行きます。
余り強く擦ると偏光シートが傷だらけになるので、軽くです。

REX50LCDBkLt_08.jpg

綺麗に粘着が取れました。これで準備完了。


REX50LCDBkLt_09.jpg

液晶と基板のすき間はほぼ2mmです。この間に入るようにバックライトを
構成しなくてはなりません。手持ちで何とかなるかな…。

REX50LCDBkLt_10.jpg

反射シート、導光板、拡散シートA、拡散シートB と重ねます。

REX50LCDBkLt_11.jpg

これらを重ねるとギリギリ2mm。う~ん、入るかな…。ここが厚過ぎると
液晶の導電ゴムがしっかり密着しないので、ドット欠けの原因になります。
とりあえずこれで組んでみましょうか…。

REX50LCDBkLt_12.jpg

横からフラッシュライトで照らした所。バックライトとして問題なく全体が
光っているので、これで大丈夫そう。あとは接触か…。


ここでちょっと余談なのですがこのディスプレイ、ヤフオク等でメンテ済み
製品を見ると、青いバックライトの物に交換された個体を良く見かけます。
ビネガったディスプレイを互換品に交換してあり、その互換品はAliExpress
などで売っているので交換は割と簡単です。

で、似たような製品
LCDキャラクターディスプレイモジュール(16×2行バックライト付)
が秋月電子でも売ってますが、ちょっとした罠があります。

REX50LCDBkLt_13.jpg

このディスプレイ、右上が1ピンとなって下が2ピン、と上下の列が交互に
1→2→3→4...となり、最も左の列は上が13ピン、下が14ピンです。

そして1ピンがGND、2ピンが+5Vとなります。

REX50LCDBkLt_14a.png

REX50 のサービスマニュアルでも、1ピンにVSS、2ピンにVDD表記。

所が、秋月電子で売っているディスプレイは、データシートを見た限りでは
この電源が逆。1ピンが+5V、2ピンがGNDになっています。

REX50LCDBkLt_14b.png

1/2ピン以外は全てREX50のディスプレイと同じピンアサインなのに、電源
だけはなぜか逆なんですね…。なので、これを使えば入れ替えられる!とか
思ってしまうと罠に引っかかります。ご注意を。


さて、続きの作業をしますか…。

REX50LCDBkLt_15.jpg

ディスプレイモジュールにはLEDバックライトを付ける為の空きパターンが
あるので、ここを使って白色LEDを付けましょうか。

REX50LCDBkLt_16.jpg

こんな感じでチップLEDを取り付け。配線が短いので、特にホットボンド等
固定はしていません。

ここは裏にも同じパターンがあってビア(スルーホール)で繋がっているので、
裏面に120Ωのチップ抵抗を付け電源(1/2ピン)に接続しておきました。


REX50LCDBkLt_17.jpg

次にREX50の元のディスプレイを外しますか。スッポンでひたすらハンダを
吸い取り、ドライバで軽くこじりながらハンダを溶かしたりして…。

REX50LCDBkLt_18.jpg

何とか破壊せずに取り外し成功。

REX50LCDBkLt_19.jpg

上がバックライトを付けたモジュール、下が元から付いていたモジュール。
どちらも全く同じ物である事が確認できます。

ちなみにバックライトを付けた方、実はLEDの配線を間違っていたのですが
この時点ではまだ気づいていません(笑)。


バックライトを付けた物に入れ替えて、REX50の電源を入れてみたものの、
なぜか電源が入りません。ディスプレイを外すと入る。

う~ん、なぜなんですだぜ?🤔


REX50LCDBkLt_20.jpg

調べてみると、バックライト用配線の+5V側が、ディスプレイを支えている
金具(GND)と接触している事が判明。仕方ないので金具の基板と当たる所を
ニッパでカットしました。これで大丈夫なはず。

REX50LCDBkLt_21.jpg

ディスプレイをセットしたら今度はバックライトのLEDが光らない。これも
調べてみたら単に+/-を間違えていただけなので修正。

…したのですが、ディスプレイに何も表示されませんね…。

中に仕込んだ導光板が厚過ぎて、導電ゴムが接触していないのか?にしても
文字どころか1ドットも表示されないのは変だな。

写真ではただピンに挿し込んだだけの状態になっていますが、全てのピンを
完全にハンダ付けしても、1ドットも表示されません。このディスプレイは
長いこと部品箱の中にほかってあったので、もしかしたら壊れてるかもな…。

原因が導光板の厚過ぎなら削れば行けそうな気もするけど、厚みを削るのは
なかなか至難の業だなぁ…。均等に削らないとムラになりそうだし。


REX50LCDBkLt_22.jpg

結局、一旦また元のディスプレイに戻しました。ダメだったディスプレイは
そのうち導光板の厚みを何とかして、再挑戦してみる事にします。

長々と書いた割に失敗に終わって腑に落ちませんが、とりあえず今宵はここ
までにしとうございます。
あ、ちなみにしょっぱな「ごじます」と書いているのは文字数合わせの為で、
タイポしている訳ではありません。


という事で改めて、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
今年も皆様に幸多からん事を。



posted by ゆう at 2025年01月05日| Comment(0) | 電子楽器 修理・改造 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年10月20日

CBX-K1 発熱対策とUSB電源化

もう10月も下旬に入ったと言うのに初夏のような気温になっておりますが、
DTMerの皆さまにおかれましてはドキッ!全裸だらけの大DTM大会開催中と
お慶び申し上げます。


最近しばらくの間BandLabで打ち込み作業をやっていましたが、ちょっと
気になる事が。

CbxUsbPsu_01.jpg

打ち込み作業に使っている ヤマハ MIDI キーボード CBX-K1 の赤丸辺りが
ほんのり温かい事に気付きました。
開けて熱源を調べてみると、電源の5Vレギュレータ・78L05 が熱くなって
いるようです。

CbxUsbPsu_02.jpg

消費電流を測ってみると60mA前後。78L05 はMax 100mAなので6割程度
になっているようですが、結構発熱するもんですね~。MIDIステータス用の
LEDや、自作でーびーむを追加しているせいかな。気になるので電源回路を
少し改造しましょうか。

ついでに邪魔なACアダプタを排除できるよう、USB電源化も。


CbxUsbPsu_03.png

という事でこんな回路を作りました。ただの5Vレギュレータ回路です。
レギュレータとUSBで互いに逆流しないように、ダイオードを入れてます。

CbxUsbPsu_04.jpg

で完成。

ショットキ―バリアダイオード(SBD)がやけにオーバースペックな感じです
が、実際60V 40A物なので圧倒的にオーバースペックです(笑)。
でもVFが最小で0.08Vと低いので、これを使用。これ以上VFの低いSBDは
手持ちにありませんでした。


ここでひとつ疑問が。

CbxUsbPsu_05.png

CBX-K1 のサービスマニュアルで回路図の電源周り(赤線)を見ると、なぜか
レギュレータへと入る前の電源が抵抗分圧されて、CPUの23ピンに入って
います。

これ何でじゃろな?とずっと疑問だったのですが、どうやらCPUのアナログ
入力に入れて、電池の消耗度を監視しているみたいですね。


このキーボードは電池使用時、電池が消耗して来るとオクターブのランプが
点滅して教えてくれます。それを監視しているのがこの23ピンみたい。
試しにベンチ電源に繋ぎ12Vからどんどん電源電圧を下げて行くと、8.2Vを
切った辺りでオクターブランプが点滅し始めます。

10kΩと3.3kΩで分圧されていて、電源電圧が8.2Vの時CPUの23ピンは約2V。
つまりこの23ピンの電圧が2Vを切ると、電池が消耗しているとみなされる
ようですね。
電源に使われている78L05はロードロップ品ではないので、出力5Vを正しく
得るには少なくとも出力電圧+3V以上、8V程度の入力が必要です。だから
電源電圧8V辺りで電池切れ警告でLEDが点滅するようになっている模様。

電池切れ警告が出ても通常動作しますが、やはり点滅されると鬱陶しいので
この23ピン用の電圧も作らなくてはなりません。面倒だな…。
なので回路図や実物の写真に抵抗が入っている訳ですね。今回は5Vからこの
電圧を作るので、10kΩと24kΩで分圧して、大体3.5V程度にしています。
これくらいあれば警告は出ないでしょう。


CbxUsbPsu_06.jpg

USBから給電しています。出力は4.93Vで問題なし。

CbxUsbPsu_07.jpg

CPU 23ピン用の電圧は想定通り約3.5V。

CbxUsbPsu_07b.png

CPU HD6473298P10 (H8/329) データシートで電気的特性を確認すると、
アナログ入力は -0.3V to VCC +0.3 になっています。
電源電圧は5Vなので、5.3Vまで許容されるという事ですね。

適当に10kΩくらいの抵抗を通して、5Vと直結してしまっても問題ないとは
思いますが、今回は一応電流制限も兼ねて抵抗分圧で3.5Vかけています。


CbxUsbPsu_08.jpg

ではCBX-K1側にも手を加えて行きます。
黄色丸の78L05と、緑丸の23ピン用分圧抵抗10k/3.3kΩを撤去。

CbxUsbPsu_09.jpg

ケースにUSB Type-Bメス用の穴を開けます。12x11(mm)。

今時USB Type-Bはないだろ…と思ったのですが、意外と現行のプリンタに
まだ使われているんですね。

ちなみにこのUSB端子はあくまで給電のみです。CBX-K1 は元々USB対応の
デバイスではないので、通信は出来ません。

基板を固定したら、撤去したレギュレータとCPU 23ピンへの配線も済ませ
ます。


CbxUsbPsu_10.jpg

ACアダプタを接続してみました。電源電圧は16.84V。
この電圧だと元の回路では、CPU 23ピンは4V程度になります。

CbxUsbPsu_11.jpg

電源回路の出力電圧は4.81V。
SBDが入っているぶん5Vより若干低いですが、動作には支障ありません。

CbxUsbPsu_12.jpg

CPU 23ピンの電圧は3.4V。これもSBDを通った分少し下がっていますね。
でもこの電圧なら電池切れ警告は出ません。


CbxUsbPsu_13.jpg

メイン基板をケースに戻そうとしたら、電源基板とカチ合って入らなくなり
ました(黄色矢印)。仕方がないのでメイン基板を5mmほど切り落とし。
この部分はGNDのベタパターンしかないので問題ありません。

CbxUsbPsu_14.jpg

背面。う~ん、USB端子も右に寄せられれば良かったんですが、ここにしか
付けられませんでした。ちょっと離れているのが気になるけど致し方なし。

ちなみに回路的にUSBでの給電は電源スイッチより後ろになってしまうので、
USBで繋いでいる間はずっと電源入りっぱなしになってしまいますが、結局
PCに繋いで使うので、PCの電源と連動になってかえって便利ですね。


CbxUsbPsu_15.jpg

USB電源で動かしていますが、動作には全く問題ないですね。正常稼働中。
レギュレータもMax 500mAの78M05にしたので、ほとんど発熱はなし。


今のところCBX-K1は使う時だけ引っ張り出して来て、MIDIケーブルとAC
アダプタを繋いでいました。それに若干の煩わしさを感じていましたが、
PCにMIDI I/FのUM-ONE mkIIとUSBケーブル1本を繋いでおけば、すぐ
準備完了になります。ACアダプタが要らないのはスッキリしますなぁ。

ちなみに左上に付いている赤いボタンは、どこにも配線が繋がっていません。
サスティンペダルの代用にしようと思ったけど、このスイッチはカチカチと
チャタリングが酷くてペダルデータがダブりまくるので、配線外しました。

ハードウェアは電源の確保が鬱陶しい所ではありますが、これで多少便利に
なりました。打ち込み作業をしたい!となった時に、素早くセットアップが
出来ますね。


※2023/10/21 追記

このキーボードは、ピッチベンドとモジュレーションが 0V~2.5V~5V の
アナログ変化を読み取っているので、電源電圧が下がるとコントローラから
の出力が相対的に下がってしまうのでは?という懸念がありましたが…。

CbxUsbPsu_16.png

実際に操作してデータをリアルタイム録音してみた限りでは、どちらも上限
+8,190 / 127 が出力されているので、これも大丈夫(ピッチベンドの範囲は
-8,192~0~+8,191 の16,384段階ですが、1違っていてもコントローラと
しての用途であれば差はありません)。



posted by ゆう at 2023年10月20日| Comment(0) | 電子楽器 修理・改造 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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